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【PR】保険について考えよう

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もしもの時を想定し、自分だけでなく家族のためにも
保険について考えよう

ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフの皆さん
ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフの皆さん

人生にはさまざまな出来事が起こる。時に想像するだけでも恐ろしいが病気やけが、事故などによって仕事ができなくなり、突然収入が途絶えてしまうケースも考えられる。そこで非常に重要な存在になるのが、もしもの時の備えとなる保険だ。今回は、人生のバックアップとして役立つ保険について、ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のマクナイト千草さんに話を伺った。

スーパーや保険について理解する

本紙2018年10月号では、ホーム・ローンの審査が厳しくなったという話題について触れた。これは、銀行でローンの申し込みをする場合、スーパーアニュエーション(以下、スーパー)や保険について、かなり細かくその内容が精査され、実際の支払い状況などの明細を提示しなければならなくなったというものだ。

ローンの申し込みに当たり、自分自身のスーパーや保険について、どのような契約内容なのか詳細を把握しておく必要が出てきた。しかし、現実にはきちんと把握している人はごく少数で、大多数はほとんど無頓着だということが分かってきているという。

このような状況をとても心配しているのがANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフ、マクナイト千草さんだ。

「仕事上たくさんの人と加入しているスーパーや保険について話をする機会が多いのですが、ほとんどの人はお金を払っているという認識はあるものの、細かな内容までは理解していません。特に保険は重要なものなので、きちんと自身の保険内容について知っておいて欲しいと思います」と千草さんは話す。そして、その理由と自身の役割をこう続ける。

「もし病気などで仕事ができなくなってしまったら、収入がなくなってしまいます。その分を保険でカバーし、経済的な心配をしないで治療に専念するのが本来の形です。しかし必要な時になっていざ内容を確認したら、契約した条件によってカバーされないという事態も十分に考えられます。もし自分の保険の条件などが分からず、不安だという人は、ぜひ一度ANZ銀行にお越しください。調べることも可能ですし、場合によってはより良い条件の保険へ見直すようアドバイスすることもできます」

銀行の窓口へ行こう

若い人が自分の将来を考えた時に、保険のことまで考えるケースはあまりないだろう。体力があり特に病気もなく、多少無茶をしても大丈夫。それならば今は保険にお金を使うより、別のことにお金を使いたいと考えるのは当然だ。

しかし千草さんはそうした考えにこう異を唱える。

「自動車を持っている人は保険に入っていますよね。新車でも古い車でも、多くの人は万が一のことを考えて保険に加入します。しかし自動車よりもっと価値のある自分自身に保険を掛けないのはなぜでしょう。運転していればパンクすることもありますし、事故の可能性もあります。定期的にメンテナンスも必要です。自分の体も同じです。もしものことを考えて自動車保険に入るのと同様に、それ以上に大切な自分自身のために保険に入ることを考えてみてください。そしてその内容もきちんと理解して欲しいと願います」

日本人は比較的、保険に入るという考えを持っているが、その内容まで理解している人はほとんどいないのではないだろうか。その結果、家族が増えたり、ローンの申し込みに銀行を訪れた際に、さまざまな話題を話していく中で、自身の保険の条件を知って驚く場合が多いという。

また年配の人も同様で、きちんと説明を受けて理解したはずだが、詳細が分からなくなってしまい、しかも銀行の窓口へ行く機会もないまま、放ったらかしになっているという人も多いそうだ。

そのため、カバーされる範囲が極めて狭く、加入している意味がなかったり、逆に必要以上にオプションを付け、高額な保険料を支払っている場合もあるという。

「長い人生の中では、家族が増えるなどライフ・ステージは変わります。以前は十分だった保険の条件も、数年後は変わるでしょう。そのため定期的な見直しが必要になります」と千草さんは言う。

ANZ銀行は保険会社ではないが、貯金や支払い、ローンなどお金に関するサービスを提供してくれる。その中で、顧客それぞれにふさわしい保険かどうかについてのアドバイスもしてくれる。つまり保険だけでなくトータルでお金について提案してくれるのがANZ銀行の最大の強みだ。
「お客様とお話していく中で、ANZ銀行のファイナンシャル・プランナーが登場することもありますが、当然英語での説明になります。その際、サーファーズ・パラダイス支店では専属の日本語通訳が常駐していますので安心です。更に他の部門の日本人スタッフもいますので、さまざまなお金についてのご相談を日本語ですることが可能です」

相談には事前予約が必要となるが、自分だけでなく家族のため、将来のために保険の内容についてしっかり理解しよう。

移転のお知らせ

ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店がトラムのカビル・アベニュー駅前、ヒルトン・ホテル下に移転した。なお電話番号の変更はない。
●新店舗住所:Shop G017-G019 Cavill Lane 3113 Surfers Paradise Blvd., Surfers Paradise
●Tel: (07)5626-5113

ANZ銀行主催

ちゃんと知っておきたい
オーストラリアの保険

 もしけがや病気で働けなくなったら、収入がなくなることも考えられる。万が一の事態に備えるのが保険だが、自分の保険についてきちんと理解しているだろうか。ANZ銀行ならではの視点で分かりやすく解説します。

開催日時:2019年1月24日(木)6PM~

●場所:ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店
●料金:無料
●予約申し込み:マクナイト千草 Tel:(07)5626-5113またはChigusa.McKnight@anz.comまで
●要予約。定員になり次第締め切り



【特集】快適なシニア・ライフを求めて①

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快適なシニア・ライフを求めて

退職を控えるプレ・シニアや、シニア世代が海外の地でより満足度の高い生活を送るためにはどのようなことを知っておくべきなのだろうか。また何をしておく必要があるのだろうか。オーストラリアも日本と同じく長寿大国として数えられる国の1つだ。プレ・シニアやシニア世代が今からできる準備について、遺言、介護、不動産投資、年金・スーパーアニュエーション、資産運用のテーマ別に必要な情報を専門家の意見を踏まえて紹介していく。

遺言 取材協力=エインズワース・オルブライト法律事務所/占部英高さん

遺言

遺言書とは

遺言書は、遺産の分配を始めとする故人の意思を反映させるための重要書類である。故人の財産をどのように相続するかはオーストラリア各州で異なるため、遺言書を残さないと州ごとの関連法令に従い相続人の範囲と法定相続分が判断される。そのため、故人が希望するチャリティー団体に相続財産を分配したり、特定の近親者に対し分配を多くするといったことができない。

更に相続財産が不動産なら、それが所在する州の法律で相続関係が判断される。銀行預金や投資信託などの動産の場合は、預金先の銀行や受託者の所在する州の法律により相続関係が判断される。そのためオーストラリアに資産を持っている人には、遺言書の作成が推奨される。

遺言書作成上の注意点

遺言書の作成と執行の要件はおおむね各州法で共通しており、特徴として「遺言書は記述であること」「遺言者は2人以上の立会証人の前で遺言書に署名すること」「その立会証人も遺言者の前で署名すること」が挙げられる。通常、「遺言書の認証」条項を冒頭に記述することで、その文書が遺言者の最終の意思内容だと明確に示すことになる。

遺言者は、遺言書で遺言執行者(Executor/以下、執行者)を指定・選任できるが、選任しなくても遺言書は有効だ。執行者は遺言執行の要を担い、遺産を調査・特定し、公正市場価格で評価する。遺言者が死亡した時点で返済すべき債務を遺産から支払い、更に債務返済後の遺産にかかる税の支払いも済ませる(ただし、オーストラリアに相続税、遺産税はない)。その後、遺言書で指定された受益者(Beneficiary)と呼ばれる被相続人に遺産を分配し、遺言書の有効性に異議申し立てを受けた際も、その対処を行う必要がある。

そのため執行者には、身近で信用の置ける人を指定・選定すべきで、被相続人の中から選任することが多く、年齢が若い人を複数人指定すると安心だ。他方で、執行者は選任を受諾も辞退(受託後の辞退を含む)もできるため、複数人指定する場合は順位を定められる。例えば、第1位の執行者が遺言執行時に職務ができない場合、第2位の執行者が職務を行う。また複数の執行者が共同で職務を行うよう、遺言書で定めることもできる。

執行者が遺言書に定められた職務を遂行するには、まず検認裁判所で遺言書の検認(Probate)申請をする(実際の申請は弁護士が手続きする)。検認証書(Probate Certificate)が発行されるまで遺産管理に着手できないことが注意点である。

遺言書を残さなかったら

遺言書を残さずに死亡した場合、無遺言相続(Intestate)となり、相続財産は故人の意思とは無関係に州の関連法令の規定する範囲の相続人に、規定の順番と法定相続分で相続される。無遺言相続であっても検認手続きが必要となり、遺産管理人(Administrator)が自身をその地位に指定する旨を記載した申請書を検認裁判所に提出し、それに基づき申請者に権限付与書(Letters of Administration)が発行され、相続執行手続きが可能となる。

遺産は最終的に法定相続人に分配されるが、州の検認裁判所での手続きに1年以上掛かる場合もある。そのため遺言書がないと相続分配を確実に、迅速に執行できないとも言える。

状況が変化した時

資産状況や財政状況が大幅に変わった時や、結婚、離婚、別離、子どもの誕生といった家族構成の変化など、人生の節目で遺言書を見直すと良いだろう。婚姻前に作成された遺言書は、その婚姻を前提として作成された場合を除き、婚姻(再婚を含む)によって自動的に無効となる。離婚すると、離婚前に作成した遺言書自体は効力を持つが、そこに定められた元配偶者に関わる条項全てが無効になる。

遺言者の意思で遺言書を破棄するには、「新規に遺言書を作成する」「書面で破棄を宣誓する」「破り捨てる」など遺言書原本を破棄する、または裁判所が遺言者本人が遺言を破棄する意思が明らかだと遺言書原本に記載するなどの方法がある。

共有財産の扱い

オーストラリアでは、夫婦で所有している不動産は「Joint Tenancy」として共有形態が多く、例えば夫が亡くなった時は「Right of Survivorship」により、その不動産は死亡と同時に自動的に妻に帰属し、相続財産には含まれず、相続の対象にはならない。

遺族遺産分与

遺言書は原則として遺言人の意思を反映する法的文書である一方、制限が全くないわけではない。オーストラリアでは、遺族遺産分与(Family Provision)の制度があり、配偶者、子ども(継子を含む)などの被相続人の近親者で、被相続人に経済的依存がある人たちは裁判所に対し相続財産の一部を自身に分配するよう請求できる。その分配額は裁判所が具体的な事情を考慮した上で判断する。

介護 取材協力=ジャパン・トータル・ケア・サービス(JTCS)/沼田貴史さん、小島直美さん

介護保険

介護を始めるには

要介護度(軽度または中度・重度)の認定を受けるには、オーストラリアではまず介護を受ける本人または家族が自治体ではなく連邦政府の運営する「マイ・エイジド・ケア」(Web: www.myagedcare.gov.au、Tel: 1800-200-422)に連絡し登録を済ませ、要介護度の認定に向けた手続きを進める仕組みとなっている。また、英語でのコミュニケーションに不安がある場合は、無料通訳サービス(TIS、Tel: 131-450)を利用しマイ・エイジド・ケアへの登録、手続きを進めることも可能だ。

サービス利用までの具体的な流れ

マイ・エイジド・ケアへ登録を行う時、初回の電話で質問される項目は主に以下の通りとなっている。

初回登録の質問内容(5~10分で登録完了)

  • 氏名
  • 現住所
  • メディケア番号
  • 生年月日
  • 居住形態(一人暮らし、または家族などと同居しているか。居住に経済的援助を受けているか)
  • アボリジニーまたはトレス海峡しょ島出身かどうか
  • 出生国
  • 母国語
  • 電話番号、など

その後にそのまま電話で介護度認定のための簡易アセスメントを受ける。簡易アセスメントを受ける際の主な質問は以下に挙げられる。

簡易アセスメントでの主な質問項目

  • 今後どのようなサポートを受けたいか
  • 他にエイジド・ケア・サービスを受けているか
  • 政府から他に何か援助を受けているか
  • 買い物は1人で行くことができるか
  • 歩く際に補助器具を使用しているか
  • 薬局に1人で薬を取りに行くことができるか
  • 家事をする際に体のどこかに不自由は感じるか
  • 生活をする上で何か困る動作はあるか

電話アセスメント後、3~6週間以内にマイ・エイジド・ケアから電話で自宅への訪問アセスメント日時が伝えられる。指定の日時に政府から委託されている地域の団体より、軽度の介護度を認定する認定者(Regional Assessment Service/RAS)または中度・重度の介護度を認定する認定者(Aged Care Assessment Team/ACAT)が自宅へと派遣される。認定者が自宅へ派遣され訪問アセスメントを行う際も、上記電話アセスメントと同様の質問がされるケースが多い。

介護に向けた事前準備

「介護」と言っても、将来サービスの受け手となる本人の健康状態によりその内容はさまざまだ。一方で、「もしも」の時を考え事前に介護サービスを受けるための準備をするのであれば、大きく以下の4点の事前準備が挙げられる。

  1. セミナーや勉強会などに行き、大まかな介護の仕組みや掛かるコストを理解する。
  2. マイ・エイジド・ケアのウェブサイトに、資産と年収を基に介護コストを試算するページがあるため、そこに自分の現在の資産と年収を入れてコストをある程度把握しておく。
  3. 自身がどのような場所で最期を過ごしたいかを考え、機会があれば老人ホームなどを見学し、どのような所か、また行きたい老人ホームがあるのかなどを把握しておく。
  4. 家で介護を受けたい場合は、家に人が来てもらうこと(そして介護をしてもらうこと)に慣れておく。

施設ケア(老人ホーム)

施設での介護

もし在宅での介護が難しいと感じれば、考えなければならないのが施設での介護だ。一般的に「老人ホーム」と呼ばれる介護施設だが、オーストラリアの公的な介護施設は、要介護度の低い人を対象とした「ホステル」と要介護度の高い人の「ナーシング・ホーム」の2種類に分かれる。ただし、近年では同じ施設内で要介護度を上記の区分で分けることが多くなってきているため、これらの違いはほとんどなくなってきている。

サービスを受けるまでの流れ

実際に公的な介護施設でのサービスを受けることを希望する場合、介護保険の認定の場合と同様マイ・エイジド・ケアに連絡をすることから始まるが、施設入居までの流れは以下の通りとなっている。

  1. マイ・エイジド・ケアに連絡する。
  2. マイ・エイジド・ケアにより介護度のアセスメントを受け、介護度を認定してもらう。
  3. センターリンクで施設への入居を希望する本人の年収と資産の認定を受ける。
  4. 希望する介護施設に連絡し、部屋の空き状況を確認する。
  5. 希望する介護施設に空きがあれば、介護施設に行き入居日や必要な費用について調整する。
  6. 調整して双方が合意すれば入居。

想定される費用

介護施設への入居を考えた際に気になるのが、費用についてではないだろうか。介護施設入居に当たり掛かる入居金や住居費などの費用は施設により異なるため、一概に年間に要する費用などを知ることは難しいが、日々に掛かる費用の試算は入居者本人の年収と資産に基づきマイ・エイジド・ケアで行うことが可能だ。そして、入居者本人の年収と資産の状況により、求められる費用は以下のように大きく2通りに分かれる。

年収と資産が十分にない場合

年間に必要な費用などは年金の支給額以上に掛かることはなく、入居金なども保有資産以上に求められることはない。

年収と資産が十分にある場合

入居金は、施設のあるエリアの平均的住宅価格の80%程度とされている。その他、1日150ドル程度の生活費用が掛かるとされているが、収入、資産、健康状況などにより正確な費用は変動する。

施設を探す際の注意点

入居する施設を探す時、必要とされる費用以外にどのような点を気にして探すのが良いのだろうか。介護施設を探すに当たり、特に注意したいポイントは以下の通り。

  • 入居金はもちろん、日々のケアには幾ら掛かるのか、また追加でケアが必要となった場合に掛かる費用を確認する。
  • 食事とお風呂(シャワー)を始め、日々のアクティビティーにどのようなサービスが提供されているのかを確認する。
  • 面会時間がどのように設定されているかなど、家族や友人が訪問しやすいかを確認する。
  • 施設内の設備の充実具合や豪華さなどではなく、スタッフの対応やスタッフ1人当たりが受け持つ入居者の人数などを確認する(一般的に、スタッフへの負荷が少ない方が良いサービスが提供される傾向にある)。

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日本人スタッフが安心の介護を提供

ジャパン・トータル・ケア・サービス(JTCS)

シドニーで介護や高齢者向けのサービスを中心に事業を展開するジャパン・トータル・ケア・サービス(JTCS)。オーストラリアではなかなか受けることができない、日本ならではのおもてなし精神のあるサービスが顧客から高い評価を得ている。同社の特徴や今後の展望を代表の沼田貴史氏に伺った。

JTCS代表・沼田貴史氏
JTCS代表・沼田貴史氏

――シドニーを拠点に同社のサービスを始めたきっかけをお聞かせください。

家族と共に来豪し30年近く経ちますが、オーストラリアで老後を考えた時、身の回りをケアしてくれる日本人として安心して利用できるサービスがないことに気が付きました。また、オーストラリア在住の日本人には家族と離れて暮らす方々が多いため、将来的に介護などの福祉サービスに対して不安があるという声が多くあり、実際、自分の家族や友人が同じような不安を持っているのを長年見てきました。そこで、日本人が今後も安心してオーストラリアで暮らせるように、皆が安心して利用できる高齢者向けのサービスを立ち上げようと思ったことがきっかけです。

――高齢者向けサービスについてお聞かせください。

弊社には日本で看護士や介護士として働いてきた優秀な人材が多く在籍しているので、日本で仕事をした経験のあるスタッフにしかできない配慮が行き届いた、きめ細かいサービスを提供させて頂いております。

サービスは1回当たり2時間で、頻度は必要なだけ、お客様のご希望に応じて対応致します。サービスの提供可能エリアは、北はホンズビー、南はサザーランド、西はパラマタまでのエリアを目安に、シドニーの主なエリアをカバーしています。それらのエリア以外でもご相談頂ければと思います。

日本的なサービスの一例として、寝たきりの状況になっているオーストラリア人のお客様の髪の毛をスタッフのちょっとした気遣いで簡単に洗って整えて差し上げたということがありました。日本では何でもないようなことなのですが、ご本人やご家族の方々にこちらが驚くほど感謝して頂きました。ちょっとした例ですが、日本人の心のこもったケアは世界に誇れるものだと実感しています。

――日系の会社にしかできない日本品質のサービスとして、どのような点を大切に事業を行っていますか。

「安心」「安全」「信頼」をモットーに、皆様の快適なオーストラリア・ライフをサポートさせて頂けることができればと思っています。例えばトイレやキッチンでふきんを使い分けるなど、多くの日本人にとっては「当たり前」のことがオーストラリアでは通用しないことが多々あります。「当たり前」のことを当たり前に行うことで、お客様に日本にいるのと同じように安心して業務を任せて頂けるように心掛けています。

――サービスを提供する体制については、これまでに何か変化はありましたか。

介護事業を始め2年程経ち、複数の大きな団体との協力体制もできたので、総合的なケア・マネジメントなどを含めた介護に関する全てのことができる体制になりました。他団体の協力により、弊社では経済的に厳しい方でも政府から介護制度の認定をされた方であれば、実際に政府からお金が下りる前でもほぼ無料で介護を受けて頂けます。また、一般開業医(GP)とも連携し、介護が必要な皆様により介護にアクセスしやすい体制にもなっています。介護についてのワンストップとして気軽に相談して欲しいと思います。

――今後のビジョンを伺えますか。

2017年10月から新事業として、高齢者だけではなく、障がい者の方々を対象としたサービスも開始しました。障がい者の子どもを持つ日本人の方々がいることを日本人のソーシャル・ワーカーの方を通じて知る機会があり、こちらも日本人コミュニティーにとって必要なサービスであると思い、サービスを開始した次第です。

今後もオーストラリア在住の日本人の方々が安心して暮らしていけるサービスを提供していくのはもちろんですが、日本人の気配りあるサービスのすばらしさをオーストラリアのローカルの方々にも知って頂けるように、事業を展開していきたいと思っています。

ジャパン・トータル・ケア・サービス
■Tel: (02)8607-8333 ■Web: www.jtcare.com.au ■Email: info@jtcare.com.au ■備考:カード支払い可


【特集】快適なシニア・ライフを求めて②

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快適なシニア・ライフを求めて

不動産投資 取材協力=エイペックス不動産/パトリシア・パクさん

不動産投資の基本

不動産投資とは

自分の財産を保ちながら、増やしていくには投資という方法がある。投資の方法はさまざまで株や金、赤ワインなどを購入する人もいるが、膨大な時間を要したり予測不可能なリスクを考えたりすると、無期限の不動産に投資する方が安心だろう。

不動産投資というのは、ホーム・ローン(以下、ローン)を組んで投資した不動産物件に居住者やテナントを入れ、その家賃収入によってローン返済していくことで、将来自分の物件となった後も財産が増えていくことを指す。生活に負担を掛け過ぎないよう不動産投資することが良い投資であり、本来の不動産投資のあり方と言える。

不動産投資におけるメリットとデメリット

メリット

  1. オーストラリアの人口増加は著しく毎年20万人が移住しており、現在シドニー、メルボルン共に人口約500万人だが、2050年には両都市共に800万人になると推定されている。人口増加=住宅の需要であり、現実的に住宅不足が続いている状態だ。【表1】から2011~16年の5年間で、国民平均収入が微増なのに対し、物件価格の上昇率は異常で全く追いついていないことが分かる。これまでの同国の不動産を見る限り、物件価格は10年間で約2倍(URBISデータ分析会社より)で、下がる時期もあるが、上がる時期の方が長く上昇率も高いので、結果的に上昇している。
     このことから、なるべく早い(若い)時期から不動産を長く持ち続けることが大切となる。
  2. シニア・ライフにおいても、一番理想的な収入は不労収入(Passive Income)だ。不動産物件を持っていれば、家賃収入が得られる。賃貸料も年々上がっており、空室率2%以下と貸し手市場であることも強みとなるだろう。
  3. 物件価格がますます高くなっていることで、現在の子ども世代は不動産物件の購入が不可能に近いため、不動産を保持することで子どもたちへ資産を残してあげることができる。
  4. オーストラリアでは税制上、投資不動産物件の減価償却が認められており、税金控除を受けられる。ただし、中古物件は年数が古いほど減価償却が低くなるので、購入の際は税制上、新築の方がお薦めと言える。
  5. 特にシニア世代は貯まった年金で不動産を購入することで退職後の家賃収入、キャピタル・ゲイン税は非課税となる。退職前であっても収入、キャピタル・ゲイン税は15%と一般所得よりはるかに安い税率が適用される。年金で物件を投資するため20代や30代の人たちにはお薦めしないが、プレ・シニアの人たちであれば、年金を利用することで節税できる。ただし、セルフ・マネジメント・スーパー・ファンド(SMSF)の専門会計士に頼むのが安心だろう。
  6. 子ども(18歳以上)がローンを組むことで節税、お金の教育にもなる。現在の子ども世代が不動産投資用の資金を貯めるのには困難がある。そこで子どもに購入希望不動産の頭金を貸し付けることで、ローンが下りれば即物件購入が可能となる。年齢的にローンを組むのに苦労するだろうが、子ども世代が働いていて収入証明があり、貸付条件を満たせばローンが組める。
表1 住宅購入の一般的な手順
表1

基本的に不動産物件を持つことにデメリットはないが、注意事項として以下の点が挙げられる。

注意点

  1. 物件を選ぶ際、ロケーションの選別が一番重要となる。投資用なので、自分が住むのではなく人に貸すことを念頭に置き、安く買えるからといって借り手のいない場所にしないようにする。居住者やテナントに不人気な不動産を購入しても、居住者、テナントが入らないと苦労する。もちろん余裕があれば、毎週現金でローン返済して不動産を長く持つことで結果的に価格は上がる。しかし、生活に影響が出ないように注意が必要だ。
  2. 自分の予算に合った物件を購入すること。でなければ、手持ちの現金を全て使ってしまい、緊急時にお金が足りない状況となってしまうだろう。
  3. 物件価格の暴落(予測のつかないテロや大地震などの災害)が万が一発生したら、期待していた利益が得られない可能性もゼロではない。

人気の不動産の種類

安全なセキュリティ・システムと庭の手入れが不要な「アパート」が人気だ。予算に合ったアパートにすると家賃とローンの差額が少なく、現金負担も少ない。アパートの人気は上昇しており、投資するにはお薦めだ。

例えば一軒家の場合、300万ドルの4ベッド・ルーム(BR)を購入すると毎週の家賃は約1,200ドル。利子率4%で計算すると1週間のローン返済額が約1,800ドルとなり、家賃収入を差し引いて毎週の支払い金額は約600ドルに加え諸経費が掛かる計算となる。アパートの場合、例えばシドニーCBDで90万ドルの2BRユニットを購入すると週約750ドルのレントで、利子率4%で計算すると毎週のローン支払いは約550ドル。諸経費を差し引いて現金収入が見込める可能性もある。このことからもアパートは人気投資先の1つとなっている。

不動産投資のチェック・ポイント

不動産投資をするに当たって、確認しておきたいポイントがあるので、以下を参考にして不動産の購入を考えてみてはいかがだろうか。

  • 都市中心部との距離
  • デベロッパーの知名度
  • 政府のインフラ・プランの近くにあるかどうか
  • 交通の利便性
  • テナントが見つかりやすいロケーション
  • 負担できる価格かどうか

手続きから売却まで

不動産購入までの流れ

まず購入希望物件の価格の最低20%である頭金を用意する。また、不動産購入の検討から実際に購入するまでは図1の通り。

図1
図1

購入した物件を売却したい場合

信頼できそうな不動産会社を見つけ、自分の物件と似た条件の不動産マーケット分析をしてもらい販売価格を決める。販売が決まったら弁護士に販売契約書を作成してもらい、不動産会社とはエージェンシー契約を結ぶ。本格的にマーケティング活動(インターネット広告、チラシの作成、インスペクション・スケジュールの調整、オープン・ハウス)を開始し、希望金額を提示した見込み客がいたら販売となる。

NSW州で注目のエリア

物件価格が成長中のエリアは既に価格が高いので、将来性の高い地域を選ぶのが良い。例えば、10年前は2BRユニットで30万ドルでも高すぎると批判されていたシドニー南部のグリーン・スクエアが、現在1BRでも70万ドルを超える。ライト・レールと新たな電車路線がそろい、大学や空港に近く生活しやすい便利な立地となりまだ高くなるだろう。

現段階でそうしたロケーションの1つにシドニー・オリンピック・パーク周辺が挙げられる。60万ドル以下で1BRが購入でき将来、地下高速道路(WestConnex)開通後は物件価格上昇が大いに見込める。また建設予定の新空港近くのキャンベルタウンや、ペンリス、リバプールなども注目の場所だ。他にもブラックタウンやボタニー、ウォータールーもお薦め。

マーケット・リサーチなどは買う直前ではなく、早めに開始し資金を準備しながら良い物件が現れた時に、すぐにアクションを起こせるように準備をしておくことが不可欠だろう。


【特集】快適なシニア・ライフを求めて③

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快適なシニア・ライフを求めて

年金・スーパーアニュエーション
【年金】取材協力=ライフメイツ社会保険労務士事務所/蓑田透さん
【スーパーアニュエーション】取材協力=さくらパートナーズ/吉住京子さん

日本の年金

オーストラリアでの日本の年金受給

日本における公的年金(老齢年金)とは、現役時代(20歳~60歳または65歳)に毎月年金保険料を支払うことにより、その金額に応じた年金額を老後に受給できる仕組みとなっている。国民全員が加入する国民年金と、被雇用者が加入する厚生年金(公務員は共済年金)の2つの年金がある。

年金を受給するための条件は、国籍や居住地に関する制限はなく請求手続きを行えば、オーストラリア在住でも日本の年金を受給することは可能だ。日本に住所があれば年金に関する情報(受給開始時期や受給見込額など)が通知されるが、海外居住者の場合は住所を登録しない限り通知されない。日本へ行く機会があれば、最寄りの年金事務所で年金記録を調べてみてはいかがだろうか。

年金受給と日本での加入期間

老齢年金を受給するためには、原則的に現役時代に年金保険料を10年間払い続けることが要件となる(2017年8月に資格期間が25年から10年に短縮された)。

しかし例外として、海外在住期間(ただし日本国籍のまま)またはオーストラリアの老齢年金(Age Pension)の加入期間を日本の年金加入期間に含め通算することもできる。これらの措置により、例え日本の年金加入期間が短くても10年の受給要件を満たすことが可能になっている。

受給の手続き

日本の年金を受給するための方法は、以下の3つに分かれる。

  1. 日本へ帰国し、手続きを行う

    年金を受給するために日本への帰国が可能であれば、全国各地にある年金事務所(共済組合の場合、各組合事務所)に出向いて手続きを行う。

  2. 日本の家族または専門業者に依頼

    日本へ帰国することが難しい場合、日本にいる家族や専門業者(社会保険労務士事務所)に年金受給のための手続きの依頼をする。ただし、受給者本人からの委任状が必要となる。

  3. オーストラリアの年金事務所で手続き

    オーストラリア国内にある年金事務所に必要書類を提出し、日本の年金事務所に書類を郵送してもらうという方法。日本への書類郵送に時間を要すること、また受付窓口でのやり取りが英語になるため手続きのハードルが高くなる。

障害、遺族年金の受給

日本の年金の受給については、老齢年金以外にも障害年金、遺族年金も受給可能だ。

障害年金は、保険料を払っている現役世代(つまり、まだ老齢年金の受給開始年齢に達していない人)が傷病により障害状態になってしまった場合に受給できるもの。障害年金の受給には、障害の原因となった傷病の初診日に日本の年金に加入していることが必要条件となる。

遺族年金は、年金受給権を持つ人または現在受給中の人が亡くなった場合に一定の家族に支給されるもの。対象遺族は遺族基礎年金が高校生以下の子どもがいる場合の配偶者または子、遺族厚生年金は配偶者、子(高校生以下)、父母、孫、祖父母のいずれかになる。

スーパーアニュエーション

スーパーアニュエーションとは

スーパーアニュエーション(以下、スーパー)とは、オーストラリアの企業、個人の積立年金(確定拠出年金)制度のことを言う。スーパーのファンドに積み立てられたお金は、退職後の受給に向けて増やすように投資運用され、一般的にその投資内容は個人で決めることができるようになっている。例えば、バランス・ファンドへの投資や、企業の株式を自由に持つことも可能だ。

投資によって発生した利益に課される税率は15%(アカウント・ベースド・ペンション/ABPの場合は無課税)のため、個人の税率によってはスーパーを使う方が有利な場合もある。

また、サラリー・サクリファイス(給与を全額現金で受け取る代わりに、収入の一部をスーパーに積立運用する制度)などで節税対策にも使われるが、積立方法により税金の掛かり方や積立額の上限も異なる。

これらの点を踏まえ、スーパーは老齢年金(Age Pension)とは仕組みが異なったものになるので注意が必要だ。

スーパーの引き出し時期

スーパーの受給については、以下に挙げる人が主な受給対象者となる。

  1. 受給資格年齢に達し退職した人(55~60歳まで異なる、表1を参照)
  2. 受給資格年齢に達したが退職していない人(持っているスーパーを「Transition to retirement pension」に組み替えると最高割合の10%までアクセス可能)
  3. 60歳以上で仕事を辞めた人
  4. 65歳以上の人(仕事をしていても受給可能)
  5. 死亡した人(スーパーは遺族に譲渡される)

【表1】年齢別スーパー受給対象者の生年月日(55~60歳)

生年月日 給付開始年齢 生年月日 給付開始年齢
1960年7月1日以前 55歳 1962年7月1日~1963年6月30日 58歳
1960年7月1日~1961年6月30日 56歳 1963年7月1日~1964年6月30日 59歳
1961年7月1日~1962年6月30日 57歳 1964年7月1日以降 60歳

引き出し可能額

退職移行期間(TTR)ペンションとして出す場合には、最高10%までと引き出し可能額が決まっているが、ABPの場合は特に引き出し額の上限は決められていない。

ただし、最低引き出し率はTTR、ABPのどちらにも適応するのでどちらのペンションにおいても引き出し金額の最低割合が表2の通り決められている。

【表2】ABP保持者年齢 最低割合(%)

65歳以下 4% 85~89歳 9%
65~74歳 5% 90~94歳 11%
75~79歳 6% 95歳以上 14%
80~84歳 7%

引き出しの手続き・手数料

スーパーの引き出しには一般的に手数料は掛からず、引き出したい場合はスーパーのファンドを持つ会社へ問い合わせた上で、フォームを取り寄せ記入する必要がある。

ただ、ファンドの会社はフォームの手配はしてくれるが、個人の状況に対してのアドバイスを行ってくれる場合は少ないので、スーパーの引き出しに当たってはファイナンシャル・プランナーなどに問い合わせることをお勧めする。

スーパーの運用と問題点

オーストラリアも日本も世界的に長寿国となっており、シニア・ライフは長くなってきている。シニア・ライフを安心して進めようと考えていても、退職後の生活に十分な貯蓄がなければそれは難しくなる。そこで、スーパーの運用に関連する退職後の大きな問題点は以下に挙げられる。

退職後の一番大きな問題

 スーパーアニュエーション・ファンド「VicSuper」の調査によると、75~79歳の約30%及び保守的な投資をしてきた人の約50%は、退職後の生活に十分な貯蓄がない。また、55歳以上のオーストラリアの退職者で財政的に準備ができている人はわずか約8%に留まり、約54%は準備ができておらず、この問題の根本的な原因を特定して対処しない限り、次の世代になっても状況は改善しないと言える。退職時にお金を使い果たしている人が多い。

長生きの国民

 私たちは、寿命を両親がどれだけ長生きしたのかを目安に考えがちだが、現代の寿命は親世代に比べもっと伸びている。世界保健機関(WHO)によると、日本人もオーストラリア人もトップ5に入る長寿国だが、平均的な退職年齢は65歳のままとなっている。長寿になったことで、退職してから平均20年間も余生がある。

アクティブなライフスタイル

 医学の進歩や健康管理に関する情報収集がしやすくなったことで身体的、社会的にアクティブなシニア・ライフを楽しんでいる人が多くなっている。
 大手銀行HSBCの報告によると、退職者の約45%は、退職後に旅行や新しい趣味、家族や友人との時間を過ごすことを楽しみにしており、最新の調査では、退職者の約62%が国内旅行の予算はあると考えて、約40%は海外旅行を計画している。シニア・ライフの質を維持、改善したいという思いが、ますます支出の多さにつながっていると言える。

貯蓄をセーブせず使っている

 退職後、所得がないのに今までの生活水準を維持する、もしくは改善するとなるとよりお金が必要となる。
 HSBCの調査によれば、退職者の半数は毎年スーパー・ファンドから最低額以上を引き出しており、将来の貯蓄が劇的に削減している。オーストラリア人は同調査に参加した全17カ国で最大の貯蓄不足を抱えている。
「何とかなる」という楽観的な見方のまま綿密な計画がなくては退職時にお金が不足する問題は続くだろう。資産テストをパスできず、年金をもらえなくなった人も多い。どのように改善できるか一度専門家と話し合うのが良い。


【特集】快適なシニア・ライフを求めて④

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快適なシニア・ライフを求めて

資産運用 取材協力=さくらパートナーズ/吉住京子さん

資産運用

投資の種類

これから投資を始める人たちにぜひ知っておいて欲しい基本があり、「投資の3原則」と言う。「長期投資」「複利」「分散投資」の3つを指し、以下にそれぞれの特徴を挙げていく。

長期投資

短期投資は「いつ買うのか」「いつ売るのか」というこの2つのタイミングを間違わず売買する必要があり、リスクが高い。そのため投資の上級者でない限り、この方法は難しいと言われている。

一方、長期投資は、一度投資した資産を持ち続けることを指す。ハイ・リスクな投資方法ではないため、メリットとして「無駄な売買の手数料を払う必要がない」「毎日ニュースや株式チャートを見てハラハラすることがない」「キャピタル・ゲイン税にディスカウントがある」といったことがある。もちろん、長期で資産を保持するためクオリティーの高い投資内容を選ばなければならない。また、シニア世代にとっては資産を守る目的から保守的な投資内容にすることも大切だろう。しかし守るだけではなく、インフレ対策なのか、資産の価格上昇率や配当金を目的とするのか、などの個人の必要性に合った投資内容を選ぶことが重要となる。

分散投資

分散投資は、投資リスクを下げることを目的とする。1つの資産クラスや株に集中することで上昇している時は良いが、下落した時の財産の損失は大きな影響を及ぼす。分散投資でできることは2つだ。

  1. 投資信託の利用

    投資信託は、さまざまな会社に投資する。例えば、100万円を投資するとして1社の株だけを購入することもできるが、オーストラリア国内にある30社に投資できるとするとどうか。どちらの方がリスクは低いだろうか。もしくはインデックス・ファンドや上場投資信託(Exchange Traded Fund/ETF)など、多くの会社に投資しているファンドを利用することもできる。もちろん投資上級者や好きな会社に投資したいという場合は異なるが、投資先の数を増やすことでリスクを軽減できるはずだ。

  2. さまざまな資産クラスを混ぜて投資する

    「資産クラス」と言うとイメージが湧きにくいかもしれないが、オーストラリアやアメリカ、海外の不動産や定期預金、国債などの海外政府の債券などは、資産クラスと呼ばれる。価格上昇率を目的としてハイ・リスク、ハイ・リターンのものから、ロー・リスク、ロー・リターンのものまで資産クラスを分散、混ぜ合わせることでリスクを抑えられる。前年はすごく良かった資産クラスが、今年も来年もリターンが多いとは限らない。また投資リターンの9 0%は、「資産クラスの分け方で決まる」と言われている。

複利

アインシュタインに人類最大の数学的発見と言わせたこの複利は、どのような原理なのか。

まず単利から。例えば、100万円の貯金を10年、毎年の金利が10%の物に投資したとする。毎年10万円ずつ増えるので、10年で100万円、元本の100万円と合わせて200万円となる。

複利の場合、前年までに付いた利子に、更に利子が付く。そのため、2年目は110万円に「10%の金利=11万円」、3年目は121万円に「10%の金利=12万円」の金利が付き、10年後には259万円になる。

単利は10年で2倍、複利は2.59倍となる。同じ条件で30年投資したとすると単利は400万円、複利は1,745万円となっていく。支払われる利率や配当金を利用して再投資し、長期投資することで時間と複利を味方にできる。

その他のポイント

この他にも、シニア世代は考慮するポイントが幾つかある。

1つはアクセス。家のような大きな資産があっても現金にはしづらい。そして万が一に備えて現金が手元にあるという融通性を考える必要がある。

2つ目は収入と税金。毎日の生活に現金が要るため、頻繁に利率や配当金が支払われる投資形態ならばキャッシュ・フローの管理がしやすい。今までの貯蓄はできるだけ、無駄な税金をセーブし、家族に多く残したいと考えるだろう。税金に有利なスーパーアニュエーション(以下、スーパー)やアカウント・ベースド・ペンション(ABP)、ボンド、アニュイティーなどを利用し、特にスーパーやABP、アニュイティーなどからの収入は無税なので、うまく利用すべきだ。しかし、成人した子どもに株やスーパーを残す際は、税金が掛かることもあるため注意が必要。

3つ目は、資産を次の世代に残すことを考えておくこと。資産を自分が渡したい人やチャリティー・グループなどに残すために遺書を書くことが大切である。投資方法によっては名義変更が簡単にでき、子どもや孫、チャリティー・グループに渡せるものなどもある。

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理想のシニア・ライフを送るために

資産運用について考えよう


■KVB Kunlun(シドニー店)
■住所:Level 33, Governor Macquarie Tower, 1 Farrer Pl., Sydney
■Tel: (02)8263-0186(日本語サービス)
■Web: www.kvbgc.com/jp


左:山田悟氏(KVB Global Markets取締役日本部門ヘッド、KVB Wealth Managementカスタマー・サポート、FA資格保有)
右:カイ・デン氏(Wealth Management部門ディレクター)

皆さんはリタイア後にどのような暮らしをお望みですか。リタイアしてからの必要となる金額は皆様がどのようなライフスタイルを送るかによって変ってきますが、快適なリタイアメント・ライフを25年送ると仮定した場合、カップルで62万ドル、独身者で59万ドルは必要だと考えられています。しかしこれは、その金額を投資した場合の年間利回りが5%を維持し、更に政府から老齢年金(一部)が支給されるという条件付きです(出典:www.superguide.com.au)。

老齢年金については今後も現在の支給レベルが維持される保証はありません。また、この低金利の時代に25年間も5%の利回りを維持していくことが以前ほど容易ではなくなっています。リタイア後に25年以上生きる可能性、いわゆる「長生きリスク」も想定する必要があります。

一般的に、リタイア後の資産運用はリスクを取らずに安全資産で行った方が良いと言われます。しかしながら、現在の医療技術の進歩、高齢化により肥大する社会保障費、低金利の投資環境を考えると、一定のリスク資産をポートフォリオに加えることでバランス良く運用することが必要となってくるでしょう。

当社では、お客様のニーズに適した金融商品をお選び頂けるようさまざまな選択肢をご用意しています。あまり聞き慣れない複雑な商品も日本人スタッフがお客様に理解して頂けるまでご説明します。以下が、当社が取り扱う商品の一例です。

キャピタル・ノート(Capital notes)

債券の一種で、定期的な分配金が支払われます。分配金は一般的に高い利率が設定されていますが、あらかじめ決められた条件が満期日に満たされると普通株に転換されます。証券取引所で満期前に売却が可能です。この数年、豪四大銀行による発行が続いています。高利回りですが複雑な商品なので、投資の際は専門のアドバイザーに相談されることをお勧めします。

モーゲージファンド(Mortgage funds)

不動産ローンで運用するファンドです。定期預金より高い利回りが期待できます。利回りだけでなく、貸付先が十分に分散されているか、担保不動産の質、換金性の容易さなどをよく確認しましょう。

上場投資信託(ETF)

証券取引所で株のように売買が可能な投資信託です。一般的に市場平均に連動するような運用方法を取っています。非上場の投資信託よりも手数料が安く、取引が容易なことから近年人気が高まっています。

仕組商品(Structured products)

債券にオプションなど金融派生商品(デリバティブ)を組み込むことで高い利回りが得られる商品です。組み込まれたデリバティブが対象としている資産の値動きにより最終的なリターンが左右されます。複雑な商品なので、ある程度の投資経験と知識をお持ちの方向けの商品です。

日本で投資、あるいは帰国という選択

私たち日本人には、日本で投資をする、あるいは日本で暮らすという選択ができます。分散投資の観点からも、全ての資産をオーストラリアで運用するのではなく、日本でも運用することは理にかなっています。例えば、オーストラリア(特にシドニーとメルボルン)では不動産はかなり高騰してしまいましたが、日本であればオーストラリアで頭金にするくらいの金額で購入できる不動産はいくらでもあります。また、オーストラリアの高騰する物価やサービスの質の悪さ、英語での生活に消耗するよりも、むしろ日本の方が快適なシニア・ライフを送れると考える方も多いかと思います。その際に頭を悩ませるのがオーストラリアにある資金をどうやって日本へ送るのかという問題です。

当社ではまとまった資金を大変有利なレートで日本へ送金するサービスを行っています。また、その資金をオーストラリア・ドルのまま当社でお預りし、ご希望のレートに到達した時点で両替を行うサービスも提供しております。例えば、既に帰国が決まっているけれど、現在の相場が良くないので両替はしたくないという場合、オーストラリア・ドルをお預りし、ご帰国後レートが有利になった時点で日本円に両替し送金を行うことが可能です。普段、相場を常時確認する余裕がなくても、事前にご希望のレートをご指定頂ければそのレートに到達した時点で自動的に両替を行います。

当社ではスーパーアニュエーションの無料チェックを行っています。お気軽にお尋ねください。

免責事項
 本広告は「KVB Kunlun Pty. Ltd.ACN 101 829 467(AFSL 226602)」により作成されており、本広告に含まれる情報は、投資に関する助言や勧誘を目的とするものではございません。また、本広告は皆様の個々の投資目的、ニーズ、財務状況、投資経験、リスク耐性などを考慮に入れて作成されておりません。投資目的や財務状況、ニーズなどを考慮の上、商品がご自身に適したものかをご判断頂き、必要があれば専門のアドバイザーにご相談ください。また、投資判断を行う前には、各商品の商品開示文書(PDS)及び当社が発行する金融サービス指針(FSG)を熟読頂くことを強く推奨致します。PDS及びFSGは無料で提供致します。

【PR】頼れる強い味方会計士インタビュー2018⑧

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会計士インタビュー2018

PR Global Hub

グローバル・ハブ
森田順平氏

クイーンズランド州ブリスベンと東京都・港区虎ノ門に拠点を置き、オーストラリア国内外の企業に対する税務、会計、ビザ業務をサポートする会計事務所兼ビザ・エージェント事務所「グローバル・ハブ」。同事務所の代表を務める森田順平氏に、事務所設立の経緯や事業内容を始め、グローバル・ハブならではの強み、今後のビジョンなどについて話を伺った。

――貴事務所の具体的なサービス内容、独自の強みはどのようなものでしょうか。

日系、オーストラリア国内企業問わず、事業・投資の通常の会計、税務処理に付随して、多くの場合必ずと言って良いほど同じタイミングで該当者の方のビザの問題が発生します。これは日本から進出する際に、法人設立の他に日本から当地に派遣される方のビザの手配、または当地既存企業の労働力不足により海外からスキルのある人材を招致する必要がある事例が多々あるためです。

以前の勤務先は国内大手の会計事務所だったのですが、多様化する会計顧客のバックグラウンドからビザの問題も多くあり、一般的な会計業務のみの取り扱いであったため対応することができませんでした。ビザに関するサービスも同時に提供が可能になれば、多民族国家にある会計事務所として、より包括的なサービスを提供できるのではないかと考え、2016年に現在の事務所を開業しました。

また、オーストラリアでは言語の問題もありますので、全ての取り扱い業務を英語、日本語、中国語(北京語)の3カ国語で対応しています。弊所では、原則的に全ての業務をクラウド上で完結させているため、国内外問わず幅広い地域の方からのご依頼も問題なく対応が可能です。

――業務形態にかかわらず、ビジネス構築のサポートもされていると伺っています。どのような支援をされているのでしょうか。

事業、投資行為は経営、管理をされる方によってさまざまなアプローチがあります。副業として始められる方、日本の本社の100%子会社として規模の大きな業務を行い将来的に事業拡大を希望される方、またご家族も事業に関与される自営業など、事業開始時点でのアプローチや将来への展望は千差万別です。全ての業態にとって株式会社が良いというわけではなく、事業主のリスク許容度、設立後の管理の手間、コスト、運営上の柔軟性を維持できる事業組織を検討していきます。

弊所ではそのような個々の条件に最も適した事業組織の在り方を経済性、節税性、資産保護の観点なども織り交ぜながら包括的にご案内しています。いったん運営が始まった事業体を改編するより、最初から適格な基盤を構築する方が長い目で見ても経済的なためです。また、必要に応じて会社法専門の弁護士の紹介も行っています。

――国外企業のオーストラリア進出もサポートされていますが、日系企業からはどのような案件が多く寄せられますか。

日系企業のオーストラリア進出は年々増加しており、現在では日本の少子高齢化による国内市場縮小の懸念から事業規模、業種を問わず、多くの問い合わせを頂いております。具体的には、卸売、メーカー、化学、建設といった分野の増加が最近は顕著になってきていると思います。また、近年ではオーストラリアの安定した治安、高い教育水準、低いカントリー・リスクに好感を持ち、事業、投資家としての実績を利用してご家族で移住を希望される方もいらっしゃいます。

そうしたオーストラリアへの進出を希望される方からの問い合わせは、多くの場合弊所ウェブサイトのフォームやメールで頂いています。まずは、どのような事業を展開されていて、オーストラリアでの具体的な進出目的とご希望を伺った上で、問い合わせに対応します。場合によっては展開予定のサービス・製品へのニーズがオーストラリア国内にあるのかどうか見えないこともありますので、状況に応じて市場調査の手配や、弊所の専門外の分野については外部の専門家と協力しながら包括的にお手伝いをさせて頂いております。

――会計士になられた経緯を教えてください。

日本の高校を卒業後、日本の大学へは進学せず、単身クイーンズランド大学に正規留学しました。留学生にとっては基本的に始められる学部のオプションは多いのですが、私は自分の性格上、数字で白黒はっきりさせることや正解・不正解が明確なことを好んでいたので商学部に進みました。

入学当初は、言葉にも慣れておらず他の留学生と同じように大変だったかもしれません。ただ、当時は会計専門で学士号を取得すると、今よりは簡単に独立永住ビザが取れました。また、この土地で取得する学位を有効活用するためには永住権が強みになるという思いもあり、永住権を取得しました。

――ブリスベンを拠点に主にQLD州で業務を展開されていますが、貴事務所の理念とはどのようなものでしょうか。

クイーンズランド州のブリスベン、ゴールドコーストは、日系人の移住の歴史の長い地域かと思います。また、私自身が留学当初からブリスベンに住んでいたので、同地で事業展開を始めるというのは自然な流れだったと思います。

地域に根付いた業務を通してのお手伝い、また、日系コミュニティーを積極的にサポートさせて頂くと共に、クラウドを通じてオーストラリア全土のニーズに沿った対応もしていきたいです。

――業務においてどのようなことを心掛けていますか。

オーストラリアに進出したばかり、また既に何年も住まわれていても会計、税金、ビザの問題に関しては、私どものように日常的に取り組んでいない限りなかなか理解しにくく、面倒も多いものです。そのため、お客様の疑問がクリアになるまで、丁寧に説明をさせて頂くことを常に心掛けています。

――貴事務所またはご自身の今後のビジョンを伺えますか。

ブリスベン市内が一望できるレセプション
ブリスベン市内が一望できるレセプション

現在のところブリスベンと東京の虎ノ門を拠点としていますが、これからはオーストラリア国内に拠点を追加し、会計とビザのワン・ストップ・ソリューションを他地域の方にもより身近に感じて頂けるようにしたいと思っています。

また、東京以外の日本国内、台湾などにも拠点を置き、オーストラリアの会計とビザの生の情報をまだ来豪されていない方にも身近に触れて頂くことで、オーストラリア進出・移住のお手伝いができればと思っています。そして、将来的にはもっと対応可能言語を増やし、多様化する会計・ビザのニーズに応えていきたいです。

森田順平(もりたじゅんぺい)◎CPA豪州登録会計士、豪州登録税理士、豪州登録移民行政書士(MARN:1382692)、クイーンズランド日本商工会議所副会頭。クイーンズランド大学進学と共に来豪。オーストラリア国内外の企業に対する税務、会計、ビザ業務に10年以上携わり、2016年会計事務所兼ビザ・エージェント事務所グローバル・ハブを設立。自身の経験を基に日豪両国でセミナーや、ブリスベンで日本人交流会を開催し、現地日本人の交流の橋渡しも積極的に行っている


【保存版】新会計年度スタートした今こそ知りたい!タックス・リターン徹底ガイド2018①

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オーストラリアの会計年度は7月1日から翌年の6月30日までです。7月を迎え、会計年度が変わるとタックス・リターンの申告がスタートします。本特集では、2017/18(2018年度)のタックス・リターンの内容に加えて、オーストラリア国税局(ATO)の動向についても解説していきます。
取材協力・文=甘利会計事務所/甘利知子さん(登録税理士・公認会計士)

タックス・リターンとは

タックス・リターンとは、日本での年末調整や確定申告に当たり、オーストラリアでは収入のある人はほとんどの場合タックス・リターンをしなければなりません。以下に主な要件を挙げるので、1つでも当てはまる場合にはタックス・リターンの義務が生じます。

  • 居住者で収入から(金額にかかわらず)源泉徴収されているものがあった
  • インストールメントという税金の前払いをしていた
  • 年間の収入が1万8,200ドルを超えた(年金受給者の場合は別額)
  • 18歳未満で、416ドル以上の不労働収入があった(親が子ども名義で保有する投資)
  • 年度の途中でオーストラリアの居住者になった、または居住者でなくなった
  • 事業を行っている
  • 株、投資ファンドを持っている
  • 非居住者で1ドル以上の収入があった

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タックス・リターンの準備をしよう

まず、タックス・リターンの申告のために準備するものは主に以下の通りです。

  • 還付金を受け取るための銀行口座の情報(BSB、口座番号、口座名義)
  • PAYGペイメント・サマリー(別称Group Certificate)*1―働いた全ての雇用主からもらう必要がある
  • 会計年度内に受け取った銀行の利息*2総額―1ドルから申告が必要
  • 株の配当金の支払い証明書、投資ファンドからの記録、不動産投資やビジネスの収入内訳など
  • 永住者の場合、民間医療保険*3に入っていればそのステートメント
  • 必要経費の証拠(レシートなど)
  • 配偶者の収入
  • パスポートとビザの証明―メディケア*4保険料免除の場合
  • 海外からの収入
  • その他の収入

*1 PAYGペイメント・サマリー】
 PAYGペイメント・サマリーとは、雇用されている場合の収入の証明書です。会計年度のうち働いていた期間、または1年分として雇用主から7月14日までに発行されます。年度中に働いていた全ての雇用主から同書類を受け取ってください。引かれた税金がゼロでも、額面(Gross)の申告が必要です。また、同書類のデータは、雇用主からATOに届けられるので、もし受け取ることができなくても、8月後半になるとATOのポータル・サイトからデータを調べられる可能性があります。

*2 銀行利息】
 銀行利息(1ドル以上)も収入となります。銀行口座の開設時に出し入れする口座に加えて、利息の付く口座を開設しそこにお金が少しでも入っていれば利息を受け取っていると思ってください。1年間の受取利息はネットで合計金額が見れますが、分からない場合は銀行に問い合わせてください。
 また、銀行にタックス・ファイル・ナンバーを届け出ていないと、1回の受取利息が10ドル以上の場合には、税金が源泉徴収(Withholding Tax)されているかもしれません。その税金はタックス・リターンの時に払い戻せる場合がありますので、銀行の記録にTaxという文字があったら年間(7月~6月)で幾ら引かれているか調べましょう。銀行利息のデータはATOのポータル・サイトからも確認できますが、ポータル・サイトのデータは抜けていることもありますので、ご自身で確認してください。

*3 民間医療保険】
 民間医療保険は、永住権保持者のみ対象です。収入によって政府からのリベート額の調整が入る場合があります。年収が一定を超えている場合、同保険のホスピタル・カバーに入っていないとサーチャージが掛けられます。サーチャージの対象になるのは、収入がシングルで9万ドル、ファミリーで18万ドルを超える場合です。

*4 メディケア保険】
 メディケア保険とは国民健康保険のことです。課税収入の2%が保険料として計算されます。テンポラリー・ビザでメディケアの資格がない場合は保険料を免除してもらうことができます。このためには所得税申告前にメディケア・オフィスにメディケア保険料免除証明書を発行してもらう必要があります。18年度のメディケア保険料計算は、課税所得がシングルは2万1,980ドル、ファミリーの場合は合計3万7, 089ドルからですので、それ未満の課税所得の場合は保険料は掛かりません。

経費のリスト・アップ

経費は、一般的に仕事をするに当たっての必要経費と、その他経費扱いが認められている出費を指します。業務によって、また個人によっても変わりますので、一概には言えませんが、以下がその例です。

  • 個人の車を通勤以外の業務に使った場合・仕事で発生した交通費(通勤は不可)
  • ユニフォーム、安全靴(スーツ、一般のビジネス・ウェア、単なる色指定の服などは不可)
  • 仕事をしている上で必要になった教育費(仕事に就くための教育費は不可)
  • 仕事関係の業界紙、参考文献
  • 個人の携帯電話を仕事に使う必要があった場合、仕事分の使用料金
  • PCやタブレットなどの仕事上の使用料金
  • ユニオンの会費、登録費
  • 道具類、メンテナンス費
  • 屋外の業務に必要な日焼け止め、帽子、サングラスなど
  • ♦その他、計上できる出費
  • チャリティー(ATOから税金控除を認められている団体)への募金(2ドル以上、レシートが必要)
  • 学校設立基金(School Building Fund)の寄付
  • 年度中に支払った税理士費用(税理士に面会した際の交通費も可)

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申告方法と申告期限

申告方法

申告方法としては、以下の方法があります。

  • 登録税理士(Tax Agent)に依頼
  • 「myTax」で自分でオンライン申告

「myTax」で自分でオンライン申告
 登録税理士に頼むと料金が発生しますが、正しいアドバイスを受けることにより還付金が多くなるだけでなく、時間の節約にもなります。また、その料金は翌年のタックス・リターンの際に経費として計上できる上、税務署との間にワン・クッション置くことによって、後日税務署とやり取りが必要になった場合に安心です。「myTax」という政府のオンライン・システムは、多くの人が利用するようになってきました。タックス・リターンが必要のない場合のNon Lodgement Adviceも、myTaxから届け出ることができます。myTaxからの申告は、税務署から直接連絡が来ても対処ができる人には良いでしょう。

所得税申告期限
 自分で申告する場合は10月31日までになります。登録税理士から申告する場合は大抵翌年の5月15日まで延長できますが、過去の申告が滞っているなどで、延長できない場合があります。

申告期限を過ぎてしまったら?
 申告義務期間内に申告できていないものは、もう出せないのではなく、一刻も早く出す必要があります。このような場合は自分で出さずに登録税理士に依頼しましょう。知らないうちに罰金が科せられていることもありますのでご注意を。「過去一度も申告をしていないので、10年間分お願いします」という依頼を受けることもあります。遅くても出すことが大切です。

タックス・リターンの申告をすると
 通常2週間ほどでNotice of Assessmentという結果通知が郵送されます。2週間はあくまでも目安で、早い時もあれば、遅めの時もあります。ATOは4週間以内を通常期間と見なしています。還付金のある人には銀行に振り込みがあります。また、追加納税が必要な人の場合、Notice of Assessmentは請求書を兼ねています。
政府のオンライン・サイトである「myGov」に登録している人は、myGovのメール・ボックスに直接メールが来ます。
 Notice of Assessmentは、本人証明の書類として使える大切なものです。あるいは、申告時の住所から引っ越してしまって受け取れないことがないように気を付けましょう。タックス・ファイル・ナンバーを悪用する詐欺もありますので注意が必要です。申告が終わって入金がされた後も、PAYGペイメント・サマリーや領収書など申告時に必要だった書類や、Notice of Assessmentは大切に保管しましょう。基本的には5年間の保管となっています。

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タックス・リターンのしくみ

リターンという言葉を「戻る」という意味で捉えがちですが、これは戻るという意味ではなく、「申告をする」という意味です。

では、税金の計算はどう行うのでしょうか。まず、会計年度中の課税対象となる収入(一部の例外もありますが雇用収入や、個人・パートナーシップ事業収入、銀行口座の受取利息、株の配当、投資収入、その他の収入など)を全て合計します(総収入)。そこから計上できる経費を引いたものが課税所得になります。

総収入- 経費=課税所得(Taxable Income)

課税所得から割り出した税額が、既に源泉徴収などで納めている税金の額より少なければ差額を戻してもらうことになります。一方、既に払っている金額よりも割り出した税額が高くなると、請求書が届いた後、不足分を納税することになります。

課税所得から割り出した税金 源泉徴収された税金 差額戻り(Refund)
課税所得から割り出した税金 源泉徴収された税金 差額支払い

居住者か非居住者か

税務上の居住者、非居住者というのがあります。通常はオーストラリアの市民、永住者、6カ月以上のビジネス・ビザ及び学生ビザは居住者、それ以外は非居住者ですが、必ずしもそうではありません。例えばオーストラリア国外に数年の契約予定で働きに行っても、オーストラリアに家があり家族もいる場合、居住者となることもありますし、オーストラリアに1年以上居ても、家が海外にある場合は非居住者となることもあります。

居住者は、永住者と一時的居住者に分けられ、永住者はオーストラリアのみならず、全世界の収入を申告する必要があります。一時居住者はオーストラリアで発生している収入及び就業収入の申告、非居住者はオーストラリアの収入のみの申告になります。

  • 居住者①永住者→全世界の収入を申告
    ②一時的居住者→オーストラリアの収入及び就業収入(海外向けサービス収入を含む)の申告
  • 非居住者→オーストラリアの収入のみ申告

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タックス・リターンの計算

●居住者のタックス・レート(12カ月居住者の場合)

課税所得(A) 税率 税計算
$1~$18,200 0% $0(無税枠)
$18,201~$37,000 19% (A-$18,200)×0.19
$37,001~$87,000 32.5% (A-$37,000)×0.325+$3,572
$87,001~$180,000 37% (A-$87,000)×0.37+$19,822
$180,001~ 45% (A-$180,000)×0.45+$54,232

※上記には低所得者控除やメディケア Levyは入っていません

低所得者控除を計算に入れると、会計年度中12カ月居住者の場合、1万8,200ドルより下限が上がって2万542ドルまでは税金はゼロになります(今ここで12カ月としたのは、年度途中で居住者扱いが変わっている場合は0%枠の1万8,200ドルが調整されるためです)。

さて、自分は税金が戻ってくるのだろうかという点ですが、上記の計算式で自分の税金を割り出します。また、メディケアの資格がある人は2%のレビーを加えて計算してください。

タックス・レートはスライド式になっていますので、タックス・レートが一段上がっても急に税金が多くなることはありません。

計算例1

以下に、永住者で3万ドルと9万ドルの課税所得の場合の計算をしてみます。

●3万ドルの課税収入の場合
($30,000-$18,200)×0.19=$2,242+$600(メディケア2%分)=$2,842
(実際は低所得者控除が入りますので、若干少なくなります)

●9万ドルの課税収入の場合
($90,000-$87,000)×0.37+$19,822=$20,932+$1,800(メディケア2%分)=$22,732

また、上記の計算をしてくれる以下のウェブサイトもあるのでご活用ください(ただし、居住者のタックス計算に限りますので、非居住者のタックス計算は次の表をご覧ください)。

●非居住者のタックス・レート

課税所得(A) 税率税計算 税計算
$1~$87,000 32.5% (A)×0.325
$87,001~$180,000 37% (A-$87,000)×0.37+$28,275
$180,001~ 45% (A-$180,000)×0.45+$62,685

計算例2

居住者の計算例で計算した金額を、非居住者の場合に当てはめて計算してみます。

●3万ドルの課税収入の場合
$30,000×0.325=$9,750

●9万ドルの課税収入の場合
($90,000-$87,000)×0.37+$28,275=$29,385

計算例1、2の結果を比較してみると、3万ドルの課税所得の場合は非居住者の税金が9,750ドル、居住者は2,842ドルです。また、9万ドルで計算すると非居住者の税金は2万9,385ドル、居住者は2万2,732ドルとなります。

低い所得の場合は、収入に対する割合としての違いが大きくなりますので、差は大きく感じられます(低所得控除は計算外)。ここで割り出した税金+メディケア・レビーの合計と、既に源泉徴収などで納めてある額を比べてみましょう。源泉徴収額が合計より多ければ差額が戻ってくることになり、差額分を支払うことになります。

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ワーキング・ホリデーのタックス・リターンの計算

ワーホリのタックス・レート

課税所得(A) 税率税計算 税計算
$1~$37,000 15% (A)×0.15
$37,001~$87,000 32.5% (A-$37,000)×0.325+$5,550
$87,001~$180,000 37% (A-$87,000)×0.37+$21,800
$180,001~ 45% (A-$180,000)×0.45+$56,210

17年度は、ワーキング・ホリデー(以下、ワーホリ)のタックス・リターンの変更初年度で、更に年度途中から税率の変更があり大混乱でした。18年度は、新方式が丸1年適用されますので、混乱はないと思われます。

ワーホリのタックス計算

雇用主が15%の源泉徴収をしている場合、収入が他になければタックス・リターンをするとプラス・マイナス・ゼロになります。そこで、「ワーホリ・ビザで年間収入が雇用収入のみで3万7,000ドル以内かつ15%の源泉徴収がされている人はタックス・リターンをする必要はない」と、ATOより発表されました。

雇用主がワーホリ雇用の登録していない場合、32.5%の源泉徴収がされているかもしれません。その場合は、差額が戻ってきます。もし、雇用主が源泉徴収をしていない場合は、タックス・リターンで15%支払うことになります。

ワーホリは基本的には非居住者ですが、年度の途中でビザを6カ月以上の学生ビザやビジネス・ビザ、永住ビザなどに変更すると、そこから居住者になります。会計年度内でビザが変わって居住・非居住のステータスが変わった場合、それぞれのステータス期間の長さ及び幾らずつの収入があったかによってタックス・リターンの結果が変わってきます。

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スーパーアニュエーション

スーパーアニュエーション(以下、スーパー)は個人の積立年金です。1カ月の給料として450ドル以上の収入がある場合は、雇用主が給料の9.5%をスーパーファンド(以下、ファンド)に払い込むことになっており、従業員のビザの種類は関係がありません(一部例外ビザあり)。ファンドでは預かっている資金を運用して増やしていきますが、経済状況により、減る場合もあります。

ファンドの口座は自分の物です。銀行口座と同じように自分で管理する必要があります。まだファンドを持っていない場合、雇用主がファンド口座を開設してくれるのが一般的です。自分で開設して雇用主に振込先を指定することもできます。雇用主が開設してくれた場合は、ファンドから手紙が来ますので、ファンド名とメンバー・ナンバーを確認してください。自分のメンバーについて確認できたら、転職しても、新しい雇用主に自分のファンドを指定してそこに振り込んでもらうことができます。ファンドはそれぞれ管理料を取りますので、常に1つのファンドにまとめておいた方が賢明です(ワーホリは下記参照)。

ファンドは、銀行口座と同じように、ネットで自分のファンド口座にアクセスできます。自分のファンドの内容を知ることは銀行口座の内容を知ることと同じように大切です。住所変更や残高の確認や、口座に付随している保険を変更したりできますので、ログインの手続きをしておきましょう。

一時滞在者のスーパー

スーパーは年金の積み立てなので、通常は年齢が60歳になるか、他の特別条件が適応しない限り引き出せませんが、一時滞在ビザの場合、出国してビザが切れると引き出す資格を得れます。引き出す際の税率は通常35%ですが、ワーホリの場合65%が引かれます。ワーホリの高税率は、17年度にワーホリの所得税変更と共に始まりました。

最初はワーホリで、その後学生ビザやビジネス・ビザに変更した場合を考えてみます。ATOの説明では、同じファンドを使ってワーホリの時に入金していた場合は、ワーホリと他のビザの区切りをファンド内で付けられないので、全額に対して65%の税金を課します。ワーホリの時にスーパーを開設した場合、その後他のビザになった時に別のスーパーの口座を開いて口座を分けておくと、ワーホリ分のみ65%となり、他ビザの分は35%の税率となります。

永住者にとってのスーパー

スーパーは老後を支えるために大切なのはもちろんですが、税金面で優遇があるので、それをうまく利用することで永住者にとっては節税にもなります。17年7月1日より、雇用・自営にかかわらずスーパーに追加入金して税控除ができるようになりました。

スーパーの税金は15%ですので、自分のタックス・レートとの差額分が節税されます。ただし、1年に税控除の対象にできるのは2万5,000ドルまでで、これは雇用主からの9.5%の額も含めて計算します。

税金控除に使う場合、ファンドに「税控除に使うという通知」(Notice of intent to claim a tax deduction for super contribution)を送り、それに対する受領通知が必要です。同通知は会計年度を締めた後、翌年の6月30日までに出すことができますので、18年度にスーパーに追加入金済みで税控除を受けたい場合は、タックス・リターン前に受領通知を受け取ってください。

また、低所得者がスーパーに追加入金すると、政府からCo-contributionというスーパーの追加補助をもらえたり、配偶者が低所得の場合、配偶者のスーパーにSpouse contributionとして入金することで税控除を受けられます。スーパーにはルールがいろいろある上よく変わるので、専門家に相談の上判断してください。

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ATOの傾向

今年ターゲットとされているのは、個人の過剰申告経費、そしてキャッシュ・ビジネスの収入申告漏れです。

先日発表された連邦予算では、ブラック・エコノミーの撲滅と個人の脱税摘発のために、新しく多額の予算が向こう4年で組まれています。テクノロジーが発達し、データ・マッチングによりイレギュラーなものはAIがすぐに見つけますので、今まで調査が届かなかったところまで追跡が及ぶのは間違いありません。その意味では通常外のものは全てターゲットと考えても良いと思います。

ATOのデータ・マッチングによる調査

以下は、他の行政や私企業からのデータと照合できる情報です。

  • 給与と源泉徴収
  • 銀行―利息収入、海外送金
  • 政府の社会保険受給者のデータ
  • 移民局
  • 不動産売買の記録―印紙税、賃貸の際のレンタル・ボンドの記録
  • Airbnb、eBay、Uber、他の売上
  • 高級品に掛ける保険金から、所得の調査
  • クレジット・カード会社や、PayPalなどの記録
  • コントラクターの収入

その他、照合できるデータは日々増えています。

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2018年監査ターゲット<個人>

経費の過剰申告

ターゲットとなっているのは、職業別の経費計上平均値より飛び抜けて多い経費計上と、レシート以外の証明を基に計上する経費の2つあります。レシート以外の証明を基に計上する経費には、キロ数ベースの車の経費、出張費、残業食事代、ユニフォームの洗濯代、レシートなしの少額経費、証明の難しい高速代、駐車料金、マーケットで購入した物などが挙げられます。

計上するものは、実際に出費があったものに限ります。証拠が要らない範囲内300ドルの計上でも出費の事実と根拠が必要です。出費の証拠としてはレシートが必要ですが、レシートがなくても計上できるものや、レシート入手が無理なものに関しては、ダイアリーに記帳しておく必要があります。またプライベートと兼ねているものは仕事分のみ計上しますが、その際には計算の根拠を求められます。

Airbnb、eBay、Uberなどのシェアリング・エコノミーの収入

ATOはシェアリング・エコノミーの収入記録も持っています。収入と経費を間違いなく申告しましょう。

キャピタル・ゲインの申告

キャピタル・ゲイン税は持ち株、投資物件などを売って価値が上がったことにより利益が出たものに対する課税ですが、これもタックス・リターン内で申告しますので、忘れないようにしてください。

自分の居住する住居、自家用車などは対象外となりますが、自宅の一部をビジネス用などとして収入を得るために使った場合、部分的にキャピタル・ゲインの対象になる場合があります。これが今年のターゲットとなっています。キャピタル・ゲインの税収は大きいので、ATOは申告漏れの調査に力を入れています。

海外送金

海外送金1万ドル以上については、銀行がATOにレポートしますが、それ以下でも頻繁に送金があるとレーダーに掛かります。元々自分のお金や、家族から借りたりもらったりしたものは、収入ではないので税金は掛からないのですが、その証拠提出を要求されることがあります。

収入としては、海外の顧客宛てに物品またはサービス提供、日本の年金*などは海外収入ですので、申告漏れのないようにしましょう。日本の顧客とのオンライン仲介サイトで買い物代行や、情報を提供しているなど、半分趣味でしていることも、ビジネスとして見なされる場合は記録を取って、申告してください。

*日本の年金は、労働者と国が積み立てるので労働者が積み立てた分は、年金収入に対する控除として扱います。控除額は積立額と年齢から計算します

ライフスタイル

申告では収入が低いのに不動産や車などを購入したり、ぜいたくなライフスタイルをサポートする根拠がなかったりすると、ATOは収入が正しく申告されていないと判断し、調査する場合があります。

監査が入ったら

監査は、申告が止まって結果を出す前に入る場合と、既に結果の出ている過去のものについて入る場合があります。

監査対象についての証拠の提示と説明を求められます。証拠がない場合は却下、説明もそれが収入につながる費用ではない、つまり私用と見なされた場合は却下されます。

まず、記録を取っておくことが大切です。レシートなどはコピーしてデータ保管で構いません。その他、ログ・ブックやトラベル・ダイアリーなども正しく付けましょう。

雇用収入の経費計上については、雇用主がその事実を認めていることが大切です。監査が入ると、ATOは雇用主に問い合わせて確認をします。雇用主には特に証拠は求められませんが、事実の有無と計上している数が妥当かどうかを確認されることがあります。

収入の申告漏れがあると判断された場合、ATOが勝手にあなたの収入から幾らの税金を払う必要があるという判断をします。上記のライフスタイルから割り出したり、ベンチマークから出したりします。

税法は無実を証明しないと有罪という厳しいものなので、ATOからは何の証拠を出す必要はなく、納税者がどう証明するかにかかっているわけです。また、監査の結果が出たから終わりということではありません。自分が正しいと信じて立証できる場合は、異議申し立てをします。監査の結果、追徴されることになった場合、払うべき税金の差額に加えてそれに対する利息、そしてペナルティーが科される場合があります。ペナルティーは申告の間違いが故意なのか、また悪質であるかどうかによって、変わってきます。

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2018年監査ターゲット<中小企業・個人企業>

キャッシュ・ビジネス

今年からしばらく一番のターゲットと言えるでしょう。まずは、ビジネスに対して1万ドル以上の現金支払いが違法になります。

現金売上が多い、または現金のみのビジネスは注意が必要です。ATOは、EFTPOS機の導入を勧めています。キャッシュ・ビジネスの場合、記帳を正しくすることはもちろん、現金の扱いについてもどう管理し、いつ銀行に入れるかなどルールを作っておくことをお勧めします。個人の財布とビジネスの口座が混同しないようにすることが大切です。キャッシュ・ビジネスは、監視されていると思って気を付けてください。

ATOの訪問

ビジネスにATO職員が前触れなしに来ることがあります。まず、ATOの職員が自分のIDを提示し、出入金の記録方法や、雇用者の人数などを聞いてきます。ここで書類の提出を求められることはまずありませんし、職員が来たからといって問題があるわけではありませんが、その時に働いていないはずの人がいたり、ビジネスについて管理者が質問に答えられないと、後で調査のきっかけとなる場合があります。

コントラクター

本来は雇用であるべきところをコントラクターとして契約して、労災やスーパーを払っていない場合、問題になる可能性が大きいです。正しい雇用体制にするよう努めてください。

コントラクターからのインボイスにその人のABN(Australian Business Number)が入っていない場合は、47%の源泉徴収をすることになっています。ABNなしのインボイスに対して源泉徴収せずに支払った場合、経費として落とせなくなります。

また、コントラクターに支払いをした場合の年間レポートを出すことが義務付けられている業種が増えてきています。将来的には全業種になる可能性もあると思います。

ビジネスとして注意すべきこと

今までは中小企業に対してコンプライアンス(法令遵守)のチェックが厳しくなかったですが、これからは中小企業も細部まで管理が必要になってきます。

これまでコンプライアンスを気にしていなかったとしても、「今までこれで来たから大丈夫」ではもう済まない時代となっています。収入の記録、経費の計上の仕方、最低賃金の支払い、給与に対する源泉徴収やスーパーの支払いなど、正しい方法で事業を進めることが求められています。

また、各申告の未提出や遅れも監査につながります。来年の7月1日からは、給料の支払いごとにATOで内容を把握できるシステムが全てのビジネスに適用になります。これで、個人のオンタイムの収入とスーパーのデータをATOが把握することになります。今年は、中小企業が会計業務について見直しとシステム化を図る1年となりそうです。

※この記事はあくまでも一般的な情報提供が目的であり、アドバイスとして利用されるためのものではありません。


【保存版】新会計年度スタートした今こそ知りたい!タックス・リターン徹底ガイド2018②


質問に専門家が詳しく回答 日豪プレス法律&ビザ相談

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質問に専門家が詳しく回答 日豪プレス法律&ビザ相談

財産分与

Q

婚姻中に両親から金銭的援助を受けました。もし今後離婚するとなった場合、自分の両親から受けた援助によってできた財産はどのように分けられることになるのでしょうか。

A

日本では子ども夫婦が家を購入する際、両親が幾らか援助してくれることがよくあります。その時は、まさか将来離婚するなどという事態になるとは思わないので、特に何も考えず援助を受け取ることがほとんどです。

しかし、いざ離婚となった時、自分の両親から受け取った援助金はどうなるのか?全額返してもらえるのか? 今回は、オーストラリアの家族法における両親や家族からの援助金の扱いに関して考えていきます。

第一に考える必要があるのは、両親からの援助金が「借入金」として認められるか否かです。借入金として認められた場合、全額返金される可能性が高くなります。しかし、借入金として認められるケースはほとんどありません。大抵の場合、家族間の援助はそもそも当事者間に返済の意思がない場合が多く、いつか返済するという意思があったとしても、銀行などからの借り入れとは異なり、返済期間や利息などが明確に決められていないからです。これでは法律上、借入金とは認められません。

借入金として認められないとなると、自分の両親からの援助は、自分の貢献分として考慮されます。しかし、どの程度の貢献分となるかは援助の金額や時期、婚姻期間によります。

例えば、財産分与の対象となる資産総額が50万ドル以下の場合:

【婚姻期間2年、結婚と同時に20万ドルの援助】
婚姻期間が短いので、ほぼ全額自分の貢献分として計算されることが多いでしょう。

【婚姻期間20年、結婚と同時に20万ドルの援助】
援助が20年前で、婚姻期間も長いため、援助の貢献分としての価値はかなり下がります。しかし、資産総額に対する割合が大きいのである程度は認められるでしょう。

【婚姻期間20年、結婚と同時に1万ドルの援助】
援助が20年前で婚姻期間も長く、かつ援助額も低いので、ほぼ回収は見込めないでしょう。

【婚姻期間20年、別居寸前に1万ドルの援助】
婚姻期間は長いですが、援助の時期が最近なので全額とは言わないまでもある程度は考慮されるでしょう。

上記の例は一般論に過ぎません。また、金銭的援助が貢献分として認められたとしても、子どもの有無や各当事者の経済能力など、財産分与には他にもさまざまな要素が考慮されます。従って、必ずしも援助の貢献分が、そのまま財産分与の取り分に反映されるわけではありません。一般的に両親からの援助が全額戻ってくることは、ほぼないと考えて差し支えないでしょう。

最近では、こうしたケースが広く知れわたるようになり、両親からの援助がある際にはきちんと借入金として文書に残す人も増えてきました。最終的に返済するか否かにかかわらず、借入額、返済期間、利息などを記載した借用証書があれば、いざ離婚となった時に、相手方に自分の両親からの資金が流れないようにできるからです。不動産購入の援助ならば、抵当権も設定しておけば更に安心です。書類作成に当たっては、時効の問題など考慮すべき点がいろいろあるので、弁護士に相談することをお勧めします。

清水英樹(しみずひでき)
フェニックス法律事務所

QLD州弁護士、ビザ・移民法政府公認アドバイザー(MARN:9900985)。「フェニックス法律事務所」筆頭弁護士所長の他、移民ビザ専門コンサルティング会社「GOオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、各種不動産売買手続き専門法律事務所「Conveyancing Home QLD」を経営する


不動産

Q

理想の物件をようやく見つけて、早く不動産売買契約書にサインしたいのですが、不動産エージェントも確認しているので、弁護士のチェックがなくても問題はないのでしょうか?

A

契約後締結前弁護士チェックは、必須と言えるほど大切です。不動産を売買する時は、ワクワクしたり、少し不安だったり、いろいろとバタバタする時です。理想の物件を見つけて少し浮かれているかもしれません。もしくは、ようやく良い価格で買ってくれる人が現れ、その場ですぐ契約書にサインしたいという気持ちは誰にでも理解できるでしょう。

ただ不動産売買の際、いろいろな障害もあり、決済に至るまでの道は決して楽なものではありません。弁護士の仕事は法的な不備を見つけ、売買手続きをスタートさせる前になるべくスムーズな道を作ることです。

契約において、弁護士がチェックする項目について以下に説明します。

契約当事者の確認
 例えば、契約書に記入されている売主・買主に不備が生じることがあります。タイトル・サーチ(登記簿謄本)に記録されている名義と契約書に書いてある名義が違ったり、売主・買主が信託の受託者なのに契約書に個人名を記入したり、個人ではなく法人で売買しないといけなかったりと、注意すべき点は幾つもあります。契約の当事者に間違いがないよう、弁護士はチェックを行います。

特約事項チェックの必要性
 不動産売買契約には必ず契約条件が記述されていて、その条件を双方が満たさない限り決済できません。中には融資や建物・害虫調査の特約事項が記入され、売主・買主の状況に応じて他の特約が記入されることもあります。例えば、買主が新物件を買うために今所有している物件を売り、その売却代金で新物件を購入するプランの場合、事前売却や同時決済の特約を契約書に記入しない限り、現所有物件の売却が遅れたり契約が取り消しになったとしても、新物件を買わなければならない恐れが生じます。こうした特約のチェックやその作成を行うのも弁護士の仕事です。

デュー・デリジェンス
 買主のためにある融資や建物・害虫調査条件とは別に、デュー・デリジェンス(以下、DD)特約というものがあります。DD特約は一般的な契約書にはなく、希望して記入しないといけません。買主によるDD特約には、都市計画の調査や鑑定業者からの鑑定評価の取得、アパート購入の場合は管理組合の費用や議事録の調査など、ありとあらゆる調査を行う権限を与える特約です。同特約は買主には非常に有利で、融資と建物・害虫調査とは別の理由で契約を破棄することができます。

契約再締結の手続き
 契約書に何らかの不備があるまま契約を締結してしまうと、契約は履行不可能になる可能性があります。下手すれば契約書を取り消し、同時に新契約書を締結しなけばいけないかもしれません。契約取り消しと再締結をするには、場合により弁護士が特別な同意書(Deed of Rescission)を作成しなければならず、作成には弁護士費用が生じます。ただし、契約内容や売主・買主は正しく、ただ契約書に入力ミスがあった場合は契約を取り消さず双方の同意で契約書を修正できます。

 以上のような欠陥に陥らないよう、なるべく契約書にサインする前に弁護士にご相談ください。

ホワイト玖里寿(ホワイトくりす)
スチュワート・バー・メイヤー法律事務所

日豪ハーフ弁護士。日本生まれ、オーストラリア育ちのローカル。日本語、中国語、英語のトライリンガル。ボンド大学で法律と国際関係学の両学士を取得。2016年に弁護士認定。不動産、商業、相続法を専門とする若手弁護士。クライアントの安心を何よりも重視する


労災

Q

職場のフロアを洗浄中、洗浄液がまかれた床で足を滑らせ、骨折してしまいました。雇用主から、骨折したのは私の清掃方法に問題があったからだと指摘されました。そうした場合、どのように対処すれば良いですか。また、誰かに治療費を負担してもらえますか。

A

治療・リハビリ費は、「WorkCover Queensland」(ワークカバー・クイーンズランド)が負担します。ワークカバーは、雇用主をカバーする保険会社的な組織です。海外旅行保険に加入している人は、労災によって生じた医療費の支払いも同保険を使用する方が簡単だと考えるかもしれません。状況に応じて、使っても良いと思いますが、念のため、事故日から6カ月以内にワークカバーに労災(事故)報告及び保険申請を行ってください。もし行わないと、当該事故に関してワークカバーから経済的サポートを受ける権利を全て失ってしまいます。ワークカバーを使う利点は、負傷日からカバーされる期間が海外旅行保険よりもはるかに長期であることです。

また雇用主からの指摘について、あなたの過失かどうかに関係なく、職場で負ったけがによる当面の治療費はワークカバーが負担します。外国人を含む、全ての労働者がワークカバーで守られています。労災で負傷した場合、当面の医療費補償、療養休暇中の給与補償が受けられます。

更に、将来の健康について不安がある際、労災を原因とする長期的な健康問題は、ワークカバーに対する次の段階の手続きである、“コモンロー・クレーム”を通して対処します。この段階に移ると、将来の所得損失額や医療費などの補償が検討され、状況に応じて、多額の賠償金が支払われることがあります。

例えばワーキング・ホリデーの人が労災で負傷後、何とか仕事に復帰できたとします。しかし、後遺症によって事故以前のように残業や夜勤ができず、昇進の機会まで失われるかもしれません。将来の所得額に大きな影響を及ぼすため、将来の所得損失に対する賠償額は仕事復帰ができたとしても日本円に換算して2,000万円以上になることもあります。もし復帰が絶望的ということになれば、賠償額は更に大きくなるでしょう。

弁護士は、職場で起きた事故の過失責任が誰にあるのか、労災で負ったけがでその人が将来どのくらいの経済的損失を被るのかなどの証拠を収集し、被害者をサポートします。弁護士費用に不安がある人は、「成功報酬方式」で応じてくれるよう弁護士に相談してみましょう。成功報酬方式なら、あなたが賠償金を得た(案件が成功に終わった)場合のみ、弁護士への支払いが生じます(不成功なら支払い義務なし)。信頼のおける賠償請求分野専門の弁護士ならば、相談案件の一次審査を無料で受けてくれると思います。オーストラリアでは、労災に遭った人が補償を受ける際、手続きがあまりにも複雑なため、弁護士を通して手続きを行うことが一般的です。

お世話になっている雇用主に訴訟を起こすことに躊躇(ちゅうちょ)するかもしれません。しかし、賠償請求の相手はワークカバーなので、あなたの雇用主が個人的に賠償金を支払うという事態は絶対に起こり得ません。また、職場の事故で負傷した従業員を、雇用主がそれを理由に解雇することは固く禁じられています。

ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所

MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として25年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト


就労ビザ

Q

今年、サブクラス457就労ビザ(以下、457ビザ)が廃止になり、代わって新しいサブクラス482(以下、TSSビザ)が導入され話題になりましたが、永住権につながるビザにどのような変更や違いがあるのでしょうか。

A

457ビザの代わりとして導入されたTSSビザですが、大きな違いは、TSSビザでは永住権につながる「中・長期職業リスト」(MLTSSL)と永住権にはつながらない「短期職業リスト」(STSOL)に分かれたことです。

MLTSSLの職種であれば4年間の就労ビザが認可され、STSOLの職種は2年間の就労ビザでオーストラリア国内で1回まで更新が可能となるビザです。457ビザ廃止前に「457ビザを取得している場合、STSOLの職種でも永住権は申請できるか」とよく質問されましたが、2017年4月18日までに457ビザを保持、または申請済みの場合、変更前と同じ2年間の雇用を基にSTSOLの職種でも永住権を申請できるという発表がありました。ただし、永住権申請に必要なIELTSのスコア(全ての項目で6以上)は新しい法律が適用されます。

TSSビザ導入により注意点があります。TSSビザを取得する際に、どの職種で申請するにも最低2年間の職歴が必要となります。以前の457ビザでは、職歴はなくても学歴を保持していれば申請できる職種がほぼ全てでしたが、現在は学歴を持っていたとしても2年間の職務経験が必要となります。つまり、何も経験がない人がこれから就労ビザのために学歴を取得しようとする場合、学生ビザ中に職務経験を積む、または申請可能であれば卒業ビザを考えることが重要です。

就労ビザに代わる別の永住権申請方法となる、技術ビザ(以下、189/190ビザ)にも変更点がありました。同ビザはポイント制度となり、年齢や英語力、職務経験、学歴などの項目別に必要最低ポイントを取得することで申請できるビザです。今年の7月に必要最低ポイントが60から65に上昇し、より高いポイントが必要となっています。ポイントが高い人が優先されるため、65ポイントを取得しても、現状189ビザの場合は75ポイント以上の人しか申請を認められていないという厳しい状態です。

その厳しい状況の中、技術ビザを申請したい場合は190ビザの取得を目指す人が増えています。州からノミネートされた場合、申請できる190ビザは現時点では65ポイントが適用されています。州ごとに職業リストが定められ、STSOLの中の職種でも申請できる可能性があります。ただ、州によってノミネート条件が違い、住居条件やその州で働かなければならない期間などの条件があります。

同じく地方スポンサー・ビザ(サブクラス187)はまだ申請できるのかというと、以前と比べ地方職業リストに掲載の職業数は減りましたが、まだ申請可能です。STSOLの職種でも地方の会社からのスポンサーであれば申請できる職業は今でも多いです。ただ、学歴だけで申請できていた以前と違い最低3年間の経験の証明が必須です。また今後は全ての職種に対して技術チェックが必要になるなどの予定もあります。

就労ビザと技術ビザの申請条件が厳しくなり、過去最も永住権が取りにくくなったと言っても過言ではありません。MLTSSLの職種が優遇される中、187ビザや190ビザのようにSTSOLの職種でも事前に準備をすれば取れる可能性は存在します。そのため、経験ある移民エージェントへの早めの相談をお勧めします。


市民権

Q

現在、市民権の申請を考えているのですが、法改正の動きがあったことをニュースで見て知りました。英語力の証明や居住条件など、これまでとの変更点や今後の予想について教えてください。

A

昨今世間をにぎわせている市民権の条件厳格化に関する問題になります。2017年4月に豪州連邦議会に提出された市民権の取得条件の厳格化に関する議題は、同年末には連邦議会上院で否決され、一旦は収束したかのように見えました。

しかし、市民権取得に関する法改正の動きは完全に終わったわけではありません。例えば18年6月初旬には、政府が発行するPensioner Concession CardやHealth Care Cardを保持する特定の市民権申請者を対象に、これまで適用してきた申請料の特別割引を廃止し、一般申請者と同じ料金である285ドルの申請料を課すという改正が発表されました。発表はすぐに取り消され、これまで通りの割引が適用されるということで落ち着きましたが、こうした動きを見てもピーター・ダットン内務相が市民権取得の条件厳格化に対し、まだ継続してアクションを起こしていることが分かります。

そんな中、今後市民権の申請を考えている人にとって注意が必要なものが、18年2月に議会で新たに提出された市民権申請条件の改正案です。その内容の幾つかは非常に注目に値するものになっています。以下がその通りです。

英語能力について

現行法では、市民権を取得する条件として「基本的な英語能力」(Basic Knowledge of the English Language)を有することと規定されていますが、改正案では「十分な英語力」(Competent English)を有することが条件であると規定されています。移民法と照らし合わせるとCompetent EnglishとはIELTS 6.0相当の水準であることから、現行よりも高いレベルの英語力を証明する必要があります。

標準居住条件

現行法では、申請時からさかのぼって過去4年間を通して有効なビザ保持者としてオーストラリアに滞在し、そのうちの直近12カ月を永住権保持者として居住していることが条件となっていますが、改正案では申請時からさかのぼって過去8年間を永住権保持者としてオーストラリアに居住していることが条件となることが記載されています。この条件は非常に大きな変更であり、これまでは永住権取得から1年後には市民権を申請できる条件を満たすはずだった人が、改正案が施行されるとそれから更に7年間も待つ必要が出てきます。移民法ほど改正が頻繁ではない市民権法ですが、今後も市民権申請料金の引き上げや更なる条件の厳格化の可能性を考えると、7年間の待機時間は非常に大きな意味を持つことになります。

こうした市民権法の改正案が議会を通過するのか、そしてどのタイミングで議会を通過して施行されるのか、具体的なタイムラインは明らかとなっていませんが、今年中には何かしらの動きがあるものと思われます。市民権の申請を考えている人、特に今後数カ月から1年の間に標準居住条件を満たす可能性がある人は、市民権法改正案の動向を見守る必要があります。

記載された情報は市民権に関する一般的な情報であり、必ずしも全ての人に適合するものとは限りません。市民権の申請を考えていて申請条件や方法について不安がある人は、一度ご相談ください。

飯田嵩哉(いいだたかや)
WIDAUS

豪州登録移民エージェント(MARN 1794585)「WIDAUS(ウィダス)」代表。ブリスベンでビザと留学に関するコンサルタント業を行う。ビザ、市民権、学校などについて悩みの相談を受け付けている


レジデント・リターン・ビザ

Q

2013年5月に永住権を取得した後、オーストラリアで就職しました。その直後に、就職した会社から日本支社に行くように言われ、現在に至ります。近々オーストラリア本社に戻る予定なのですが、レジデント・リターンが切れていることに気が付きました。過去5年のうち、時々仕事でオーストラリアの本社に戻るくらいだったので、直近で丸2年以上オーストラリアには滞在していません。もうオーストラリアに戻ることはできないのでしょうか。

A

今回のご相談内容は、「レジデント・リターン・ビザ」(Resident Return Visa/以下、RRV)に関するものになります。ご相談者の場合、条件によってはRRVが取れるかもしれません。

まず永住ビザが出ると、通常5年間は自由にオーストラリアを出入国できます。永住権そのものに期限はありませんが、この期間が切れた後に、更に海外に出る人は必ずRRVを申請する必要があります。5年のRRVをもらう条件として、申請からさかのぼって過去5年のうち合計2年以上オーストラリアに居住している必要があります。

もし上記の条件を満たさない場合、以下のような理由があれば1年間のRRVが出る可能性があります(他、3カ月間のRRVもあります)。

オーストラリアとビジネス的な深いつながりがある

上級管理職または自営業として、オーストラリアのビジネス経営に携わっていることが必要です。ペーパー・カンパニーではなく、実際に収入・利益を出している会社であることがポイントになります。また、そのビジネスがオーストラリア人の雇用を生み出しているのか、などもチェック項目となります。

オーストラリアと文化的な深いつながりがある

芸術、スポーツ、宗教などにおいて、オーストラリアとの強い関係性を証明する必要があります。永住権取得の際の内容に関連しています。就職においてつながりがある「オーストラリア国内で仕事が決まっている」「既にオーストラリアの会社の社員として仕事をしている」という証明が必要になります。

個人的なつながり

家族がオーストラリアに永住者として居住している、同国のコミュニティーと深い関わりがあるなど、同国と個人レベルで深いつながりがある場合に限ります。以前、オーストラリアに長期滞在していたといった滞在歴なども考慮されます。持ち家などの大きな財産があることなども有利になるでしょう。オーストラリア人の配偶者と一緒に海外に住んでいたというような場合も考慮されます。

これらの理由には、特にこうでないといけないという規定はありませんが、できる限りオーストラリアとの深い関係性を証明する必要があります。

ご相談者の場合は、オーストラリアの会社に勤務し、その会社の意向で日本に長期滞在していることから、その旨のサポート・レターなどを会社から出してもらえば、1年のRRVが出る可能性は高いと思います。最近、この1年のRRVの審査が以前よりも厳しくなってきており、審査時間もかなり掛かるようです。必要な人は、早めに申請することをお勧めします。

上記は一般的なご案内となり、各個人へのアドバイスとしては使われるものではありません。ご自身の状況については専門家とご相談されることをお勧めします。

西尾彩子(にしおあやこ)
Australian Visanet

UTS並びにシドニー大学卒業。教育、流通、航空業界での経験を経て、永住権取得後、移民エージェントとなる。豊富な社会経験を生かした確実・丁寧なコンサルタントに定評がある(MARN:0208479)

”未来のお金に”期待 仮想通貨を使ってみよう

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近頃、「仮想通貨」に関するニュースを耳にする機会が多くなってきている。しかし、仮想通貨とひと言に聞いても、それが本当に使える通貨なのか、利用に当たっての仕組みは一体どうなっているのか、今一つ理解できていない人も少なくないだろう。また、興味はあっても詐欺への不安や使える場所が分からないなどの理由から、手を出すことをためらってきた人も多いのではないだろうか。そんな疑問や悩みに答えるべく、本特集ではQLD州を拠点に活動する仮想通貨のスタートアップ企業「TravelbyBit」のCEO、ケイレブ・イェオ氏の協力の下、仮想通貨の魅力から課題までさまざまな角度から解説する。(取材・文=フリアン・ロドリゲス・カンポス)

仮想通貨の特徴と魅力

革新的な特徴

ビットコインを手に持つケイレブ・イェオ氏
ビットコインを手に持つケイレブ・イェオ氏

仮想通貨の何がそれほど革新的なのか? こう自問したことがある人は少なくないだろう。現在、既に電子マネーや、カードを使ったキャッシュレスな取引が行われていることもあり、仮想通貨のシステムは大騒ぎするほど目新しいものではないように思えるかもしれない。

そもそも仮想通貨とは、無数のコンピューターで分散的に管理されている通貨のこと。名前が広く知れ渡っていることもありビットコインが仮想通貨そのものだと勘違いされがちだが、3,000以上存在するとされている中の1つに過ぎない。円やドルなどの従来の通貨の単位ではなく、通常アルファベット3文字で表される。ビットコイン(BTC)の他にも、イーサリウム(ETH)、リップル(XRP)、ビットコインから派生した「ビットコイン・キャッシュ」(BCH)などが仮想通貨の代表格に挙げられる。

先述の通り、仮想通貨はコンピューターにより分散的に管理されることから、その最大の特徴は、取引に「集権的な管理者を必要としない」ことにある。銀行に管理されている現金通貨や企業が管理する電子マネーの取引は、集権的な第三事業者を介して行われるのに対し、仮想通貨の取引は、個人間で直接行われるのだ。これは、ビットコインの開発者であるサトシ・ナカモトを名乗る人物がある論文内で発表した「ブロックチェーン」と呼ばれるシステムが可能にした。

ブロックチェーンとは、仮想通貨の取引を可能にする中核的な技術のことを指す。ブロックチェーンのネットワークに参加しているコンピューター同士で取引を記録し再認証すると、それが「ブロック」と呼ばれるデータとして完成する。このプロセスが繰り返し行われることにより、取引の正当性が保証され、無事に仮想通貨の受け渡しが成り立つ仕組みとなっている。ほとんどの取引はブロックが3つ以上確保されてからでないと成立しない。このように取引の記録や再認証を担うブロックが幾つもつながることから「(ブロック)チェーン」と呼ばれる。ただし、ブロックチェーンには、取引額が上がるにつれてセキュリティーの関係上、認証に必要なブロック数が増えてしまい、取引に更に時間が掛かってしまう弱点がある。例えば、コーヒーを買う場合は瞬時に支払いが承認されるが、新車を購入するとなると取引に要する時間が長くなる可能性があるということだ。

仮想通貨の魅力

仮想通貨の大きな魅力は、まず送金手続きをスピーディーに行えるという点だ。世界のどこにいても取引は速やかにリアル・タイムで処理されるため、海外の銀行口座からの振り込みが届くのに2日程待たされる、というような状況を避けられる。

個人間の取引が可能という性質から、匿名(とくめい)で取引を成立させられるのも魅力の1つ。企業の管理ミスなどによって起こる個人情報の漏洩(ろうえい)のリスクや、プライバシー保護の観点から、この点に魅力を感じる人は多い。

また、国際取引に掛かる手数料が大幅に削減され、ないに等しくなるというのも利点として大きい。イェオ氏によると、仮想通貨の種類にもよるが、その手数料は基本的に1セント以下で、1ドルから2,000万ドル相当の取引でも限りなく0に近いという。取引のスピードとも合わせれば、今後、世界の共通通貨の役割を担う可能性も十分に秘めていると考える専門家もいる。

最後に、取引が暗号化されることで安全性が保証されるのも魅力だ。仮想通貨は、別名「暗号通貨(Crypto Currency)」とも呼ばれ、その名の示す通り、通貨が暗号化されることで全ての取引が安全に行えるようになっている。仮想通貨を保管しているデバイスが盗難に遭っても、数段階のパスワードがなければアクセスできないため、通貨が盗まれる心配も不要だ。アドレスとパスワードさえあれば、再びアクセスすることが可能という点に着目し、日常の購買行動に仮想通貨を組み込んでいる企業も増えている。

QLD州内での実用化の動き

ブリスベン空港で仮想通貨を導入

ブリスベン空港で仮想通貨による支払いを試すケイレブ・イェオ氏(左)とブリスベン空港内のバー「Windmill & Co」のジョージ・ドリバス氏(右)
ブリスベン空港で仮想通貨による支払いを試すケイレブ・イェオ氏(左)とブリスベン空港内のバー「Windmill & Co」のジョージ・ドリバス氏(右)

2018年1月より、ブリスベン空港内のほとんどの売店で仮想通貨による支払いが可能になった。国際空港における試みとしては初であり、導入時点ではビットコイン、イーサリウム、ダッシュの3種類の仮想通貨を受け付け、ターミナル内の30以上のカフェやレストラン、お土産を販売している売店などで支払いが可能となっている。これは仮想通貨への投資で大きな利益を得た人たちが、その利益で海外旅行をしている傾向に着目し、そのような旅行者向けに通貨を使える場を提供することが狙いだ。

そして、今回、ブリスベン空港での支払いシステムの導入を行ったのが、イェオ氏が率いる仮想通貨取引のスタートアップ企業「TravelbyBit」だ。

QLD州のベンチャー企業「TravelbyBit」

「TravelbyBit」は現在、観光の場面での仮想通貨の使用を提案し、ブリスベンを始めオーストラリア全土で一般企業に対し仮想通貨による決済システムの導入を進めている。取り扱っている仮想通貨の種類は、ビットコイン、イーサリウム、ダッシュ、ライトコイン、NEMの5つ。中でもNEMは次世代暗号通貨と呼ばれる物の1つで、セキュリティー重視のプログラミングが使われているため日本でも注目を浴びている。イェオ氏によると、同社が取り扱っている通貨の中では、NEMとライトコインの2種類の仮想通貨の人気が最も高いそうだ。

仮想通貨の利点の1つに貿易などの国際的な取引がより効率的に行えることがあり、イェオ氏は観光でも応用可能だと考えている。

「想像してみて欲しい。国境を越えて瞬時に取引ができるのはすごいことだ。旅行する際にスマート・フォンさえあれば全ての支払いを済ませられるという画期的なシステムのため、観光業界にとっても新たな扉を開くことになるだろう」

QLD州ではブリスベン空港以外にも、バンダバーグから北へ70キロに位置する町アグネス・ウォーター、そこから更に北にある1770(ゼブンティーン・セブンティ)という町全体がTravelbyBitの導入により仮想通貨での支払いを受け付けている。グレート・バリア・リーフへの旅の費用も、仮想通貨で全て支払うことが可能だ。

また、取材に訪れたTravelbyBitがオフィスを構えるブルンズウィック通り(フォーティチュード・バレー)の歩行者天国一帯にある飲食店では、仮想通貨での支払いに完全に対応していた。その日、ビットコイン・キャッシュを入手し、スモール・サイズのラテの購入を試みたが、難なく買うことができた。ラテを購入した店は、ステフズ・カフェ(Steph’s Café)。TravelbyBitが初めて、仮想通貨の支払いシステムを導入した店だ。レジの店員が持つタブレットの画面で1秒以内に取引を確認することができた。

フォーティチュード・バレーはクリプト・バレー(仮想通貨の別名・暗号通貨(クリプト・カレンシー)から取ったもの)と呼ばれるほど、仮想通貨の関連企業を含む数多くのフィンテック企業が集まっているそうだ。TravelbyBitのオフィスがある建物内にも、多くのフィンテック企業が入居している。フォーティチュード・バレーを訪れる際は、支払いの選択肢として、仮想通貨も忘れずに持って行くのが良いかもしれない。

ブリスベン空港では既に仮想通貨での取引を開始している
ブリスベン空港では既に仮想通貨での取引を開始している
お店のレジ近くなどにこのステッカーがあれば仮想通貨での支払いを受け付けている
お店のレジ近くなどにこのステッカーがあれば仮想通貨での支払いを受け付けている
仮想通貨を使って買ったステフズ・カフェのコーヒー
仮想通貨を使って買ったステフズ・カフェのコーヒー
ビットコインATMではビットコインの購入、引き出し、現金での引き出しが可能
ビットコインATMではビットコインの購入、引き出し、現金での引き出しが可能

仮想通貨を活用してみたい人へ

仮想通貨の使い方

仮想通貨を使ってみたいとなった時、最初に気になるのが例えばビットコインなどをどこで手に入れるかということだ。ビットコインでなくとも、仮想通貨を入手する一番簡単な方法は、それを所持している人から買い取ることだ。それが最も安全かつ初めて仮想通貨を買う際に心配な人にはお薦めの方法だ。

実は、仮想通貨はATMからも入手することができる。ビットコインATMは仮想通貨専用のATMで、ビットコインだけでなく数種類の仮想通貨を取り扱っている。仮想通貨の現金やカードによる購入の他に、現金の引き出しや仮想通貨ウォレットへの引き出しが可能だ。ブリスベン市内とその付近には合計4つのビットコインATMが設置されている。また、「Bitcoin ATM map」というウェブサイトでは世界中に設置されているビットコインATMから、近くにある機械を検索することができる。同サイトによると、サーファーズ・パラダイス周辺には3カ所設置されており、ゴールドコースト、ブリスベン、サンシャイン・コーストのエリアで合計10カ所存在する。

ビットコイン・キャッシュを受け取ったウォレット・アプリ(Bitcoin.com)の確認画面
ビットコイン・キャッシュを受け取ったウォレット・アプリ(Bitcoin.com)の確認画面

それら以外には、インターネット上や実際の取引所で買い取る方法がある。ここで注意しておきたのは、いずれの方法で手に入れる場合でも、仮想通貨を保管するウォレットが必要になるということだ。それには、スマート・フォンのアプリが最も簡単で、初めての人には最も使いやすいだろう。物理的な仮想通貨ウォレットと呼ばれるデバイスも販売されており、USBのような形をした物から特殊な形をした物まで幾つか種類がある。ウォレットを販売しているウェブサイトはたくさんあるため、信用できるウェブサイトから選んで購入しよう。

仮想通貨について学ぶ

仮想通貨は、スマート・フォンのウォレット・アプリがあれば誰でも売買できるが、投機や値上がりを期待して買い取るのは、あまり得策ではないかもしれない。仮想通貨は、価値の変動が激しいため、価値が上昇するか下落するかを予測するのが非常に難しい。「私たちの狙いは、仮想通貨を1つの実用的な通貨システムとして確立することだ。値上がりを期待した投機は避けた方が良く、それに携わる者も技術の応用や開発にエネルギーを注ぐべきだ」とイェオ氏は語る。仮想通貨の専門家の言葉は信頼できる指針となるだろう。仮想通貨に関する知識をもっと深めたい人のために、関連ウェブサイトを幾つか紹介する。

●仮想通貨入門ナビWeb www.redgobiernoabierto.org
 仮想通貨に関するあらゆるテーマの解説が、初めての人にも分かりやすいよう日本語で多数掲載されている。

●ビットコイン日本語情報サイトWeb jpbitcoin.com
 単語やキーワードで検索できる日本語の仮想通貨百科サイト。仮想通貨の歴史や種類、プログラミング言語など専門的な情報が満載。

●Bitcoin.comWeb www.bitcoin.com
 ビットコインの初期推進家の1人で、ビットコイン・キャッシュの推進家でもあるロジャー・バーによって開設されウェブサイト。ビットコインのウィキペディアに当たる。

●Coin Market CapWeb coinmarketcap.com/currencies/dash
 あらゆる種類の仮想通貨の市場価格の情報が載ったウェブサイト。仮想通貨を買う前にどの通貨を買うか迷ったり、買った後でどれくらい変化しているのか見ることができる。

●TravelbyBitWeb www.travelbybit.com
 TravelbyBitの公式ウェブサイト。ハードウェア・ウォレット(仮想通貨をオフラインで保管できる物理的な財布デバイス)も販売している。

仮想通貨のウォレットの役割を果たす数々のスマート・フォン・アプリ
仮想通貨のウォレットの役割を果たす数々のスマート・フォン・アプリ

仮想通貨の課題と対策

近年では、ハッキングや詐欺などの被害が相次ぎ、仮想通貨の利用者はセキュリティー上の問題に直面している。オーストラリアだけでも、仮想通貨に関する詐欺の被害額は甚大だ。

今年5月にオーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)が発表した詐欺被害の年次報告によると、17年の仮想通貨関連の詐欺被害だけで総額210万ドルを超えるという。このような見出しを見ると、仮想通貨の利用を始めることに躊躇してしまうだろう。そこで、そういった被害から身を守るためにできる効果的な対処方をイェオ氏に聞いた。

1つの方法はデジタル・ウォレットを他のデバイスでもアクセスできるようにバックアップすることだ。ウォレットに仮想通貨を一定額以上保管する際、パスワードのバックアップをする必要がある。バックアップすることでウォレットを紛失しても再び取り戻すことが可能となる。画面に表示されるリカバリー・フレーズを紙に書き留めておくと、紛失や盗難などで困った場合でも保管してある金額を取り戻すことができる。紙に書いてあれば、ハッキング被害に遭う恐れもなく安心だ。パスワードを設定する際にもハッキング防止のためパスワードの保管場所を別々にすることや、前述したようにアナログに保管することがお勧めだ。また、心配なのは大金を盗まれてしまわないかということ。その被害を防ぐには、持っている仮想通貨を小分けにし、保管する場所を別々にするのが得策だ。大量の仮想通貨を一カ所に集めず、分散させて保管するのが防犯として最も効果的だとイェオ氏はアドバイスしてくれた。

また、取引所から儲け話を持ち掛けられた場合に詐欺から身を守る手段として、相手がウォレットのアドレスとパスワードを所持しているか確かめることも有効だ。「仮想通貨アクセス用のパスワードがなければ、明らかに怪しいと判断すべき」とイェオ氏は語る。このようなシステムを持つ取引所が全て詐欺だというわけではないが、仮想通貨のリスクやシステムをよく理解しているのならともかく、少なくとも初心者は避けて通るべきだろう。仮想通貨による初めての歴史的な取引から8年が経ったが、依然として新しい技術であることを理解し、これからの改善に期待を持ちながら、利用する心構えが大事なのかもしれない。

TravelbyBit Australia
■住所:315 Brunswick St., Fortitude Valley
■Tel: 0430-484-025
■Web: www.travelbybit.com
■Email: caleb@travelbybit.com
■Facebook:「TravelbyBit」で検索

Brisbane Airport
■住所:11 The Circuit, Brisbane Airport
■Tel: (07)3406-3000
■Web: bne.com.au
■Facebook:「Brisbane Airport」で検索

【雇用主必読】国税局への情報共有の大変革シングル・タッチ・ぺイロール

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PR 雇用主必読

国税局への情報共有の大変革
シングル・タッチ・ぺイロール

2018年7月1日の新会計年度から、雇用主の国税局に対する給与管理の報告の仕方が大きく変わった。「シングル・タッチ・ぺイロール(Single Touch Payroll/STP)」と呼ばれるオンラインでの報告のシステムが強制施行されたためだ。強制施行されたと言っても、その新システムの概要や必要な対応などをまだ十分に理解できていない雇用主は多いのではないだろうか。今後のタックス・リターンにも大きな影響を与えるとも言われているシングル・タッチ・ぺイロールについて、シドニーの個人会計事務所e-solutions and consultingの近藤レイコ氏が詳しく解説する。

シングル・タッチ・ぺイロールとは

シングル・タッチ・ぺイロール(以下、STP)とは、個人の給料、スーパーアニュエーション(以下、スーパー)、源泉徴収税の情報を国税局(ATO)に送るための新たな方法を指します。

2018年7月1日より従業員数が20人以上の雇用主が、STPによってそれらの情報をオンラインでATOに報告する義務が発生しました。STPの導入で、雇用主は従業員に給料を支払う度に、関連情報を全て税務署に直接送らなければならなくなりました。従業員が20人未満の雇用主については、19年7月1日からの開始となり、1年間の猶予期間があります。

この給与管理のシステムの変更は、従業員の給料に関する情報をATOがリアル・タイムに受け取るようにすることを目的としています。雇用主にとって源泉徴収やスーパーの支払い義務そのものが変わるわけではありませんが、ATOは、「通常の給与」(Ordinary time earnings)やスーパーの情報を常に把握できる環境になります。ただ、ATOが情報をリアル・タイムで受け取っていると言っても、STPで報告できないものもあります。それは、以下の通りです。

  • 一定の利息が生じるような投資や年金からの支払い
  • 年金からのまとまった支払い
  • 社会保障からの支払い
  • 疾病や事故による支払い
  • ABNを持たない状態での支払い
  • 非居住者への利子、配当金

雇用主はSTPの導入に対応するため、会計ソフトを変更する必要に迫られています。ただ、STPに間に合うように経理のシステムが整っていない場合は、新システムによる報告を始められる日付を延ばすことが許されています。雇用主がこれまで送る必要がなかった情報をATOに間違えて送り、それを基に税務署からの監査が増えることが予測されるので、それを防ぐための対策です。

STP導入の背景

STPが導入されることになった背景には、ATOが税金の源泉徴収やスーパーを支払っていない企業の情報をリアル・タイムで把握する狙いがあります。STPが導入されると、従業員の受給資格に合った給与の支払いがなされているかを常につかめるだけでなく、スーパーを支払っていない雇用主を取り締まることが簡単になると期待されています。

一方で、従業員にとっては上記の情報をATOにリアル・タイムで知らせているので、税金が引かれていなかったり、スーパーを支払われていない時は、従業員が自ら雇用主に問い合わせることが可能になりました。

このリアル・タイムの情報共有は、法律を順守していないビジネスを摘発することを容易にするでしょう。

将来予定されている話

リアル・タイムの雇用情報の共有は、社会福祉省(Department of Human Services)と連携したサービスの向上が期待されます。また、移民省に直接情報を送ることにより、ビザと給料の関連が可視化され、法律の順守が求められます。

何がどのように変わるのか

STPの導入によって、雇用主と従業員の双方にとって変更になる点が幾つかあります。

今年の6月30日まで一部の雇用主は、従業員全員の給料と源泉徴収税の合計だけをATOに毎月、または3カ月に1回など、それぞれで決めていたサイクルで報告していました。それがSTP導入で、給与の支払いを行う度に個々の従業員の関連情報を全てATOに報告することになりました。個々の従業員のスーパーの情報をATOへ報告する必要が以前はありませんでしたが、それも報告しなければならなくなりました。

雇用主にとっての大きな変化としては、源泉徴収票を発行する義務がなくなったことが挙げられます。ATOが常に情報を把握しているためです。

また、従業員はこれまで雇用主側に任せていたタックス・ファイル・ナンバーとスーパーの情報のATOへの提出を、個人がオンラインで行えるようになりました。

タックス・リターンへの影響

先述の通り、STPによって雇用主が源泉徴収票を発行する必要がなくなったため、これに応じて従業員のタックス・リターンの対応が変わると考えられています。

既に触れてきた通り、ATOにリアル・タイムで給料、源泉徴収税とスーパーの情報が共有されるため、ATOから新会計年度の早い段階で、タックス・リターンの報告の行動が促される可能性が高くなっています。また、今まで報告してこなかったあらゆる情報をATOが把握できるようになるため、法令を順守していないことへの罰金や監査が増えることも考えられています。

雇用主は厳格な法令順守の必要に迫られますが、ATOへの報告がオンラインで自動化されるため、今まで必要だった経費が不要になるメリットもあります。

雇用主に求められること

STPへの対応がまだできていない従業員数20人以上の雇用主、そして来年度からSTPの対応が求められる雇用主は、今後10カ月の間に給料システムの見直しをお勧めします。経理の流れを見直して、早い段階で事業所の情報を会計ソフトに入力できるようしましょう。また、STPに対応していない会計ソフトを使用している場合、対応しているものに早急に変更する必要があります。

以上は、一般的な説明であり、個々の雇用主に対するアドバイスではありません。対応について困っている、また詳細を確認したい場合は、弊社までお問い合わせください。


e-solutions and consulting
■住所:1002, 84 Pitt St., Sydney NSW
■Tel: (02)7901-0255
■Email: provi@live.com.au

目指せ憧れのマイ・ホーム!事前に知っておきたいホーム・ローンの最新事情

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目指せ憧れのマイ・ホーム!
事前に知っておきたいホーム・ローンの最新事情


ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフの皆さん

オーストラリアでマイ・ホームを購入したいと考えている人も少なくないだろうが、「最近ホーム・ローンを組むのが難しくなった」という話を聞いたことはないだろうか? 真剣に購入を検討している人にとっては気になる話題だろう。そこでANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のマクナイト千草さんにホーム・ローンの最新事情について話を伺ってみた。

現状を理解しよう

「まず結論から言いますと、ホーム・ローンを組むための審査は確かに厳しくなりました。また準備しなければならない書類なども増えましたし、手続きにも時間が掛かるようになりましたが、ローンが組めないということではありません」と千草さんは話す。

審査が厳しくなったというのは、過去に比べてという意味だ。王立委員会(ロイヤル・コミッション)は銀行に対してホーム・ローンの利用者へ正しい姿勢で臨むように伝えた。例えば幾つもあるローンの中から、なぜそのローンを選んだのかなどその理由を確認したり、ローンの金額が適正なのか、正しく使われているのかなど、抜き打ちでチェックするようになったのだ。

かつては不動産と自動車の購入のために、少し多めの金額でローンを組んで、余った分を好きなように使ってしまうといったケースもあったが、現在はローンが適切なのか、きちんと返済できるのかといった項目がしっかり確認されるようになった。

ANZ銀行での変更点

銀行が顧客にローンを利用してもらいたいという点は変わらないが、政府は目的に沿った適切なローンが行われることを目指している。最近では、別の銀行にローンがあったり、複数のクレジット・カードの利用状況なども確認できるようになったため、より正確にローン利用者の状況が分かるようになった。

そのためANZ銀行では、ローンの申し込み時に、利用者のお金の収支についての質問が増えると共に、その裏付けが必要になり、見積書などの書類の提出を求めるケースも出てきた。

以前は、1カ月の生活費がどのくらい掛かっているのかなど、大雑把に申告していたが、現在では食費、光熱費なども詳しく伝えなければならず、不明な点があれば細かく質問するようになった。

これからホーム・ローンを申し込む人へ

提出書類が増え手続きが複雑になった分、どうしても時間が掛かるようになったため、余裕を持って行動することが大切だ。

そして自分のお金の流れをきちんと把握するようにしよう。オーストラリア政府のウェブサイト(www.moneysmart.gov.au/tools-and-resources)にある収入と支出を入力するサービス「バジェット・プランナー」などを利用するのも良い。細かな入力項目がたくさんあるが、ローンの申し込み時に役に立つだろう。

政府が提供している家庭の収支が計算できるサービス「バジェット・プランナー」の画面
政府が提供している家庭の収支が計算できるサービス「バジェット・プランナー」の画面

そして、将来設計をしっかり立てることも重要だ。人生にはさまざまなことが起こり得る。家族が増えたり、病気やけがなど不測の事態もある。1年前と現在、そして1年後で、自分の状況が大きく変わることもあり得る。ANZ銀行では「A-Zレビュー」というお金に関する定期検診を無料で行っている。同サービスでは、収支を分析したり、ローンの見直しや資産運用などお金に関する相談やアドバイスをしてくれる。ライフ・ステージは変わっていくので半年に1度はA-Zレビューを行うことを勧めている。

「マイ・ホームの購入は人生で最大の買い物とも言えるでしょう。しっかり計画を立てて進めてください。もし分からないことなどがあったらお気軽にご相談ください。ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店では日本語で相談ができます」と千草さんは話してくれた。

オーストラリアの春は不動産売買が活発になる季節で、それに加え最近ローンの金利が下がったため、多くの銀行がホーム・ローンに関するさまざまなキャンペーンを展開している。真剣にマイ・ホームを考えている人や、現在ANZ銀行以外の銀行でホーム・ローンを利用しリファイナンスを考えている人は一度訪れてみてはどうだろう(要予約)。またホーム・ローンに関する無料セミナーも開催されるので興味のある人は参加してみよう(下記参照)。

移転のお知らせ
 ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店が移転する。旧店舗の営業は9月21日(金)まで(9月22~25日は休業)。電話番号の変更はない。
●旧店舗:9月21日(金)まで
●新店舗:9月26日(水)から
●新店舗住所:Shop G017-G019 Cavill Lane 3113 Surfers Paradise Blvd., Surfers Paradise
●Tel: (07)5626-5113

ANZ銀行主催

ANZファースト・ホーム・コーチによる
ホーム・ローン・セミナー

 マイ・ホームを購入したいが、何から始めれば良いのか分からないという人を対象に、ホーム・ローンの専門家、ANZファースト・ホーム・コーチが丁寧に、分かりやすく日本語で説明し、あなたの不安や疑問に答えてくれる。真剣にマイ・ホームの購入を検討している人は、ぜひ参加してみよう。

開催日時: 10月18日(木)6PM~

●場所:ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店
●料金:無料
●予約申し込み:マクナイト千草 Tel:(07)5626-5113またはChigusa.McKnight@anz.comまで
●要予約。定員になり次第締め切り

損をしないホーム·ローン

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種類を理解し賢く利用、コツを知って返済期間を短くしよう
損をしないホーム・ローン

ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフの皆さん
ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフの皆さん

住宅の購入に当たり利用するホーム・ローンには、日本と同様にオーストラリアにもさまざまな種類がある。モーゲージ・ブローカーや銀行の担当者と相談の上、現在の収入や資産、ローンで利用したい額を基に最適なローンを選ぶには、基本的な情報を押さえておく必要があるだろう。ホーム・ローンは上手に利用すれば予定より早く返済することも可能だ。そこで今回は、ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店の荻田健将さんに、賢いホーム・ローンの利用方法について話を伺った。

ホーム・ローンのプロダクト

ホーム・ローンには大きく分けてバリアブル、フィックス、シンプリシティー・プラスという3種類がある。それぞれの内容は以下の通り。

  1. バリアブル

    金利が変動式レートで、オフセット・アカウントがある。このアカウントにある金額に応じて金利が節約できる。例えば40万ドルの物件を購入しローンで20万ドル利用する場合、この20万ドルに対して金利が発生するが、もしオフセット・アカウントに10万ドルあれば、20万ドルから10万ドルをマイナスした残りの10万ドルに対して金利が発生する仕組みとなる。また、臨時収入などで返済を多くして、早く返すこともできる。

  2. フィックス

    固定金利で、バリアブルより金利は低いレートとなる。例えば2年間で3.75%といったように金利が固定されることで幾ら返済すれば良いのかが明確になり先が見通せるため、安定した収入に対し、安定した返済計画が立てられる。

  3. シンプリシティー・プラス

    変動金利でレートが最も低く、オフセット・アカウントもない。現在のように、とにかく金利が低い状況が続く中で人気が高く、またお薦めできるプロダクトだ。

バリアブルとフィックスは、自由な比率で組み合わせることができるという。年齢や収入、ライフ・ステージは常に変化し、これに伴って、自分にふさわしいローンも変わるはずだ。荻田さんは「ANZ銀行で2年に1度を目安に、ホーム・ローンはもちろん、お金に関する健康診断と言える『A-Zレビュー』を行って、ローンなどの見直しをお勧めしています。A-Zレビューには事前予約が必要ですが、無料でお金に関する総合的な相談やアドバイスができます」と話してくれた。

ホーム・ローンにはさまざまな種類があり、どれが一番良いのかは、利用する人によって変わる。ホーム・ローンの利用を考えている人は、購入したい物件の情報やローンで利用したい金額はもちろん、自分の収入、支出の状況や、将来の目標や備えなどを、ある程度明確にした上でANZ銀行へ相談してみよう。きっと有益なアドバイスが得られるはずだ。

ローンを早く返済するコツ

ローンを利用している人なら誰もが、早く返済を終わらせたい、返済額を抑えたいと考えるだろう。そこで荻田さんに、これからホーム・ローンを利用する人と、現在利用している人に向けたホーム・ローンを早く返済するためのコツを聞いてみた。

  1. 返済の頻度

    ローンの返済は一般的に、毎月、隔週、毎週など頻度を選ぶことができる。そこで注目したいのが、ローンの利息は毎日計算されるという点だ。
     例えば自宅購入用に40万ドルを30年、3.65%の金利で利用した場合、返済は毎月約1,830ドルになる。単純にこれを4で割り1週間当たりに換算すると457ドルとなる。しかし最初から毎週返済するようにローンを組むと420.52ドルになる。これにはもちろん給料がどのようなタイミングで支払われるのかによっても変わるが、返済の頻度を見直すことも考えてみよう。

  2. 余裕があれば多めに返済

    もし経済的な余裕が生まれれば、返済金額を上乗せすることで返済を早めることができる。
     前述の例で、毎月1,830ドル返済すれば30年で完済する。これは計算上、毎週457ドル返済することになるが、もし毎週500ドルを返済できるなら完済するには22年6カ月となり、7年半も早く返済できることになる。わずかな違いでも積み重なると大きな差になることがあるのだ。

  3. 金利ばかりを気にしない

    ホーム・ローンを比較する時に、金利は比べやすく気になる点だが、優遇制度の存在にも注目しよう。金利は低いが口座の維持に毎月費用が必要になり、むしろ損をするケースもあるだろう。また有料の優遇制度を上手に利用する方法も考えられる。ANZ銀行の「ブレイクフリー・パッケージ」は年間395ドル必要になるが、口座の維持費や、諸手続きが無料になったり、ホーム・ローンの金利がディスカウントされる。これらのメリットを受けられるなら、上記の優遇制度の利用を検討するべきだろう。

  4. クレジット・カードを上手に使う

    ホーム・ローンの返済には直接関係しないが、普段の生活の中でできる節約術を紹介しよう。
     買い物の支払いをデビット・カードで行うと、その都度口座から支払っていることになる。仮に毎日使うと、残金は毎日減り続ける。これに対してクレジット・カードは毎月一度、まとめて口座から引き落とされる。また支払いの締め切り日後15~25日以内に支払えば、利息は発生しない。利息は毎日計算されるので、クレジット・カードで支払えば、自分の口座にお金が長く留まることになり、セービング・アカウントにより多く利息が付くことになる。
     またクレジット・カードの場合、ポイントが貯まったり、プレゼントがもらえたりと、さまざまな特典も利用できる。上手に利用することで賢く節約できる。

ホーム・ローンを利用する場合、金額はもちろんだが、収入や返済期間などさまざまな要因で、その人にふさわしいローンが決まるので、専門家としっかり話し合っておこう。また早く返済するためのコツも、その人のライフ・ステージなどに関係してくるため、担当者に相談しよう。

ホーム・ローンを検討していたり、見直しを考えている人は、より詳しく説明を聞けるANZ銀行主催のセミナーに参加してみてはどうだろうか。

移転のお知らせ

ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店がトラムのカビル・アベニュー駅前、ヒルトン・ホテル下に移転した。なお電話番号の変更はない。
●新店舗住所:Shop G017-G019 Cavill Lane 3113 Surfers Paradise Blvd., Surfers Paradise
●Tel: (07)5626-5113

ANZ銀行主催

ホーム・ローンを
無駄なく返済する方法

 現在ホーム・ローンを利用している人や、これから利用したいと考えている人へ、ANZ銀行のホーム・ローンのプロが、無駄なくお得に返済する方法や、早く返済するコツを伝授! 気になる人はぜひ参加しよう。

開催日時:11月12日(月)6PM~

●場所:ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店
●料金:無料
●予約申し込み:マクナイト千草 Tel:(07)5626-5113またはChigusa.McKnight@anz.comまで
●要予約。定員になり次第締め切り


【OLD】FP(ファイナンシャルプランナー)がサポートする「貯める」から「育てる」資産形式へ

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今だから始めたい
ファイナンシャル・プランナー(FP)がサポートする「貯める」から「育てる」資産形成へ

経済を円滑に機能させると共に、私たちが生きていくためになくてはならない大切な「お金」は、将来に向けて効率的に管理していくことで、より豊かな生活を生み出すことができるのです。経済面を安定させることで心に余裕のある自由で幸せな人生を楽しむことができるでしょう。ファイナンシャル・プランナー(FP)は、そのような人生を手に入れることができるように、あなたのライフ・プランに合った資産計画を立て、それを実現していくサポートをする役割を果たします。あなたの大切な「お金」を将来に向けて、育て増やしていく“今”がその時です。先延ばしにせず、FPにぜひ一度ご相談ください。

スーパーアニュエーション

スーパーアニュエーション(以下、スーパー)は「老後のための年金」と理解されていますが、日本の年金とは異なりスーパー口座に貯蓄されたお金はあなたの個人年金、つまり資産となります。法律では、雇用主は被雇用者に税引前給与の9.5%に当たる金額をスーパーとして入金することを義務付けられているので、自動的に貯蓄されていることになります。個人事業主は義務でないため、自主的に入金するよう政府は奨励しています。

スーパー口座に貯蓄されたお金は、一般的に投資信託(投資参照)に投資されています。自身のスーパー口座詳細を雇用主に提出しない場合やスーパー口座を持っていない場合は、雇用主が自動的に口座を開設し入金するので内容を分かっていないことが多く、自身で投資オプションを選んだりすることはまれです。スーパーは退職年齢まで引き出すことができないため、かなりの長期投資となるので投資オプションを選ぶことは重要です。また仕事が変わる度に新しい口座が開設されているケースも多く、放置された口座はロスト・スーパーになっていたり、複数の口座が存在している場合もよくあります。

あなたの老後の資産であるスーパーについての確認するべきチェック・ポイントは、①投資先、②運用実績、③手数料、④2つ以上のスーパー口座を持っていないかです。

スーパーを使って節税や政府のサポートを受けることもできます。また、60歳以上で仕事をしている人には、退職移行戦略(TTR)を利用することで節税しながらスーパー残高を増やしていくという方法もあります。

保険

保険は、もしあなたの身に何かが起こった時に、経済的に家族を守ることを最大の目的としています。生命保険、終身障害(TPD)、トラウマ(重大疾病、がんなど)、所得保障保険などがあります。加入申請の際に注意を要する事項として、保険料設定が通常より高くなる(Loading)、過去に掛かった病気や故障が保険対象から除外される(Exclusion)、申請そのものが却下される(Decline)があります。これは、保険会社が申請者の過去の病気、けが、医師の診断記録から健康状態を審査し決定を下します。近年、給付金申請の件数が急増しているため加入時の申請審査が大変厳しくなってきています。

保険料の設定には、「ステップド」と「レベル」のオプションがあり、ステップドは加入時は割安ですが年齢と共に保険料が上昇していきます。レベルは加入時は割高ですが加齢による保険料の上昇がありません。両オプション共に、加入年齢が低いほど保険料が安いですが、保険加入期間が長期の場合は「レベル」がお得です。これらの条件から、健康に問題がない早い時期の加入がお勧めです。

また、保険内容をよく理解することが大切です。オンラインなどで加入する場合、保険料が安く簡単に加入できるため、内容が見落とされがちになるのでご注意ください。また雇用主が設定したスーパーに自動的に保険が付帯されている場合があり、それを本人が知らないというケースがあります。その場合も保険会社の審査なしに加入していることが大半なので、実際に請求したにもかかわらず支払われず、いざという時に使えない場合もあるので、保険内容の確認がとても重要です。

投資

定期預金や貯蓄預金が「お金を貯める」ものならば、「お金を育てて増やす」のが「投資」です。利率に応じて利息が付く預金などは、元本が保証されて損をしなくて安心と思われがちですが、そこには落とし穴があります。利息が付くことで一見、額面では増えているように見えますが、もし預金の利息率と物価上昇率が同じであれば、お金の価値としては何も変わっていない結果となります。それを解消するためには物価上昇率を上回る実績(リターン)のあるものを考えていく必要があるのです。今、豊かな生活を送るために、お金は「貯める」から「育てる」時代へ変わってきています。

お金を働かせて「育てて増やす」投資は、少額からでもスタートできます。そして大切なのは、分散して投資することです。そうすることである程度の実績が期待できると同時に、リスクも最小限に抑えることができます。危険と思われている株式や不動産投資も分散することでリスクを減少することが可能です。

例えば投資信託では、投資家のリスク許容(リスク・プロファイル)の度合いによって、現金や債権などの「守勢投資」、株や不動産などの「成長投資」など、大別すると4種類の投資先に分散されます。投資オプションも安定した収入があるファンドから元本成長が期待できるファンドまで多岐にわたっています。また、元本保証の安心できるファンドや、マーケット状況に合わせて投資先の割合を変えて変動を最小限に抑えるファンドなどもあります。これらの投資は短期では変動がありますので、5年以上の長期的な投資をお勧めします。

オンゴーイング・サービス

ファイナンシャル・プランナー(FP)からのアドバイスを受け、あなたの資産計画がスタートした後は、毎年1回の定期的な見直しをすることが必要です。時間の経過と共に、規約や制度、個人の環境などが変化していくので、内容の見直しを行い、修正していくのがオンゴーイング・サービスの大切な目的です。同サービスを利用するに当たり、少なくとも1年に一度は面談の機会を持ち、FPならではの最新情報に基づいた国の規則の変更や経済状況の変化に対応してしていけるかどうかの確認や、日々進化するより充実した商品の内容や価格を比較検討して、あなたの目標プランにとってベストな商品の見直しが行えます。個人ではなかなかアップデートするのが難しいですが、専門家であるFPからあなたにとって必要な情報を得られるという利点があります。

バロン・ファイナンシャル・プランニングでは、会計年度末にはスーパーを使った節税に関するご相談、スーパーに関する政府のサポート(Co-Contributionなど)のお知らせを行うと共に、相談したいことがありましたら随時、面談可能なサービスもオンゴーイング・サービスに含まれています。日本人スタッフが常時勤務しておりますので、日本語でお気軽にご連絡頂けます。ぜひ同社のオンゴーイング・サービスを活用されることをお薦めします。

■バロン·ファイナンシャル·プランニング
住所:Suite 1, 31 Bay St., Tweed Heads
Tel: (07)5536-2999(日本語専用)

本記事に含まれる情報は一般的な案内となり、本記事で挙げた内容についてはご自身の状況と合わせ判断されることをお勧めします。また、節税対策については過去の事例が必ずしも適切に当てはまるわけではなく、その時に合わせて流動的になっていることを留意してください。


Any advice contained in this article is of a general nature only and does not take into account the objectives, financial situation or decision you should consider the appropriateness of the advice with regards to those matters. Past performance is not a reliable guide to future returns as future returns may differ from and be more or less volatile than past returns.


【OLD】貯金を増やすコツ

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黙っていても貯金は増えない!1カ月の出費を意識して、計画的に蓄えよう
貯金を増やすコツ

ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフの皆さん
ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフの皆さん

「将来マイ・ホームを購入したい」「老後に備えたい」など、人によって目的はさまざまだが、誰もが少しでも多く貯金をしたいと考えているだろう。しかし実際はなかなか思うようにできないという人もいるのではないだろうか。そこで今回は、ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のマクナイト千草さんに、普段からできる上手な貯金の仕方を伺った。

1カ月の支出が幾らなのか知ろう

自分の1カ月の出費が幾らなのか把握しているだろうか。食費や光熱費、家賃やローンの返済など支出は多岐にわたるが、多くの場合、収入から支出を引いた残りを貯金するのではないだろうか。ところがマクナイト千草さんは「黙っていても貯金は増えません。計画を立てて行動しなければ貯金はできません」と言う。将来に備えて蓄えるのであれば、自身の現在の経済状態をきちんと分析し、目標を立てて積極的に貯金しなければならないということだ。

そのためにまず、1カ月の支出をきちんと考えてみよう。

「例えば車を持っている人は、ガソリン代や保険料が掛かります。また、タイヤがパンクすることもあれば、オイル交換も必要になります。仮に2年間で3回パンクして修理に800ドル掛かるとすれば、毎月33ドルの出費になります。もちろん、その他にもメンテナンスの費用が必要になるでしょう。そのような出費を毎月の支出として考える人は少ないです。更に病院へ行ったり、薬を買ったりと、普段の生活には何かと出費があります。本気で貯金したいと考えるなら、まず1カ月で幾らお金が出て行くのかをきちんと理解して、毎月幾ら貯金できるのかを考えましょう」と千草さんは話す。

もし生活を見直して出費を抑えることができれば、その分を貯金に回すことができるはずだ。

日常生活を見直してみよう

普段の生活の中で、ほんの少しの節約でも、1年間で見ると大きな節約につながる。例えばカフェで1杯5ドルのコーヒーを平日に毎日飲むと、1週間で25ドル、1年で1,300ドル掛かるが、1週間に2回にすると週10ドルで年間520ドル。つまり年間780ドルの節約になる。他にもネイル・サロンやヘア・サロンを定期的に利用しているなら、次に行く日を少し遅らせることで、年間の利用回数を抑えることができたりする。

あるいはスーパーマーケットで1回の買い物の予算を大体決めておき、オーバーした時は次回の買い物を控えめにするといったことも意識してみよう。

「塵も積もればと言いますが、少しの節約でも1年間を通して考えれば効果があります。これは節約のために我慢するということではありません。コーヒーの例で言えば、毎日のコーヒーを我慢するのではなく、1週間に2回もカフェで飲めると考えてみてはいかがでしょうか。また、何気なくお金を使うのではなく、将来のことを考えた上で、大切にお金を使うことにもつながると思います」と千草さんは語る。

貯金を優先させるという考え

しかし、懐に余裕があればつい無駄遣いしてしまうこともあるだろう。そこで、給料が振り込まれたら、まず最初に貯金するという考え方を検討してみてはどうだろう。ANZ銀行には「プログレス・セーバー」という口座がある。これはあらかじめ1カ月の出費をきちんと計算し、貯金できる金額を決め、給料が振り込まれたら、自動的に同口座へ移すサービスで、普通口座より利率が良く、定期預金とは異なりいつでも引き出すことができる。

更にインターネットやATMでは引き出せず、窓口へ直接行かなければならないように設定することが可能だ。そうすることで手軽に引き出せず、無駄遣いを抑えることにつながる。

ANZ銀行では、その他にも貯蓄に関するさまざまなサービスが用意されている。貯金は人それぞれ目的や金額、期間が異なり、税金なども変わってくるため、詳しくはANZ銀行へ相談に行ってみよう。

今回は貯金について話を伺ったが、蓄えを増やすには貯金の他にも、株への投資や投資信託など別の方法も考えられる。収入や支出、いつまでに幾ら蓄えるのか、金融商品への考え方など人によって状況はさまざまなので、詳しくはANZ銀行へ相談してみよう。きっと有益なアドバイスがもらえるだろう。

移転のお知らせ

ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店がトラムのカビル・アベニュー駅前、ヒルトン・ホテル下に移転した。なお電話番号の変更はない。
●新店舗住所:Shop G017-G019 Cavill Lane 3113 Surfers Paradise Blvd., Surfers Paradise
●Tel: (07)5626-5113

ANZ銀行主催

ホーム・ローンを
無駄なく返済する方法

 現在ホーム・ローンを利用している人や、これから利用したいと考えている人へ、ANZ銀行のホーム・ローンのプロが、無駄なくお得に返済する方法や、早く返済するコツを伝授! 気になる人はぜひ参加しよう。

開催日時:12月18日(火)6PM~

●場所:ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店
●料金:無料
●予約申し込み:マクナイト千草 Tel:(07)5626-5113またはChigusa.McKnight@anz.comまで
●要予約。定員になり次第締め切り



【PR】保険について考えよう

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もしもの時を想定し、自分だけでなく家族のためにも
保険について考えよう

ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフの皆さん
ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフの皆さん

人生にはさまざまな出来事が起こる。時に想像するだけでも恐ろしいが病気やけが、事故などによって仕事ができなくなり、突然収入が途絶えてしまうケースも考えられる。そこで非常に重要な存在になるのが、もしもの時の備えとなる保険だ。今回は、人生のバックアップとして役立つ保険について、ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のマクナイト千草さんに話を伺った。

スーパーや保険について理解する

本紙2018年10月号では、ホーム・ローンの審査が厳しくなったという話題について触れた。これは、銀行でローンの申し込みをする場合、スーパーアニュエーション(以下、スーパー)や保険について、かなり細かくその内容が精査され、実際の支払い状況などの明細を提示しなければならなくなったというものだ。

ローンの申し込みに当たり、自分自身のスーパーや保険について、どのような契約内容なのか詳細を把握しておく必要が出てきた。しかし、現実にはきちんと把握している人はごく少数で、大多数はほとんど無頓着だということが分かってきているという。

このような状況をとても心配しているのがANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店のスタッフ、マクナイト千草さんだ。

「仕事上たくさんの人と加入しているスーパーや保険について話をする機会が多いのですが、ほとんどの人はお金を払っているという認識はあるものの、細かな内容までは理解していません。特に保険は重要なものなので、きちんと自身の保険内容について知っておいて欲しいと思います」と千草さんは話す。そして、その理由と自身の役割をこう続ける。

「もし病気などで仕事ができなくなってしまったら、収入がなくなってしまいます。その分を保険でカバーし、経済的な心配をしないで治療に専念するのが本来の形です。しかし必要な時になっていざ内容を確認したら、契約した条件によってカバーされないという事態も十分に考えられます。もし自分の保険の条件などが分からず、不安だという人は、ぜひ一度ANZ銀行にお越しください。調べることも可能ですし、場合によってはより良い条件の保険へ見直すようアドバイスすることもできます」

銀行の窓口へ行こう

若い人が自分の将来を考えた時に、保険のことまで考えるケースはあまりないだろう。体力があり特に病気もなく、多少無茶をしても大丈夫。それならば今は保険にお金を使うより、別のことにお金を使いたいと考えるのは当然だ。

しかし千草さんはそうした考えにこう異を唱える。

「自動車を持っている人は保険に入っていますよね。新車でも古い車でも、多くの人は万が一のことを考えて保険に加入します。しかし自動車よりもっと価値のある自分自身に保険を掛けないのはなぜでしょう。運転していればパンクすることもありますし、事故の可能性もあります。定期的にメンテナンスも必要です。自分の体も同じです。もしものことを考えて自動車保険に入るのと同様に、それ以上に大切な自分自身のために保険に入ることを考えてみてください。そしてその内容もきちんと理解して欲しいと願います」

日本人は比較的、保険に入るという考えを持っているが、その内容まで理解している人はほとんどいないのではないだろうか。その結果、家族が増えたり、ローンの申し込みに銀行を訪れた際に、さまざまな話題を話していく中で、自身の保険の条件を知って驚く場合が多いという。

また年配の人も同様で、きちんと説明を受けて理解したはずだが、詳細が分からなくなってしまい、しかも銀行の窓口へ行く機会もないまま、放ったらかしになっているという人も多いそうだ。

そのため、カバーされる範囲が極めて狭く、加入している意味がなかったり、逆に必要以上にオプションを付け、高額な保険料を支払っている場合もあるという。

「長い人生の中では、家族が増えるなどライフ・ステージは変わります。以前は十分だった保険の条件も、数年後は変わるでしょう。そのため定期的な見直しが必要になります」と千草さんは言う。

ANZ銀行は保険会社ではないが、貯金や支払い、ローンなどお金に関するサービスを提供してくれる。その中で、顧客それぞれにふさわしい保険かどうかについてのアドバイスもしてくれる。つまり保険だけでなくトータルでお金について提案してくれるのがANZ銀行の最大の強みだ。
「お客様とお話していく中で、ANZ銀行のファイナンシャル・プランナーが登場することもありますが、当然英語での説明になります。その際、サーファーズ・パラダイス支店では専属の日本語通訳が常駐していますので安心です。更に他の部門の日本人スタッフもいますので、さまざまなお金についてのご相談を日本語ですることが可能です」

相談には事前予約が必要となるが、自分だけでなく家族のため、将来のために保険の内容についてしっかり理解しよう。

移転のお知らせ

ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店がトラムのカビル・アベニュー駅前、ヒルトン・ホテル下に移転した。なお電話番号の変更はない。
●新店舗住所:Shop G017-G019 Cavill Lane 3113 Surfers Paradise Blvd., Surfers Paradise
●Tel: (07)5626-5113

ANZ銀行主催

ちゃんと知っておきたい
オーストラリアの保険

 もしけがや病気で働けなくなったら、収入がなくなることも考えられる。万が一の事態に備えるのが保険だが、自分の保険についてきちんと理解しているだろうか。ANZ銀行ならではの視点で分かりやすく解説します。

開催日時:2019年1月24日(木)6PM~

●場所:ANZ銀行サーファーズ・パラダイス支店
●料金:無料
●予約申し込み:マクナイト千草 Tel:(07)5626-5113またはChigusa.McKnight@anz.comまで
●要予約。定員になり次第締め切り


【特集】会計事務所案内 2019①

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会計事務所案内 2019

個人・法人を問わず、タックス・リターンやビジネス決算、起業支援・相談などをサポートしてくれる会計事務所。特にオーストラリアの会計年度が変わる7月は、頼れる会計士を身近な存在にしておきたい。年々変わる税制や法令は、その都度対応していくことが難しく、知らなかったでは済まされない問題が起こる恐れもあるため、専門家への相談が必要だ。本特集では、オーストラリアを拠点とし日本人会計士が在籍する6つの会計事務所をご紹介。それぞれの会計事務所について、そして専門家として心掛けていることなどをインタビューで聞いた。

ウエルシュ公認会計士事務所
BDWelsh & Co

ブライアン・ウエルシュ氏(右)、ディビッド・貴春・ウエルシュ氏(中)、エイドリアン・フェルトン氏(左)
ブライアン・ウエルシュ氏(右)、ディビッド・貴春・ウエルシュ氏(中)、エイドリアン・フェルトン氏(左)

シドニー北部のチャッツウッド駅から徒歩5分の場所にオフィスを構える、1992年設立の公認会計士事務所「ウエルシュ公認会計士事務所」。スタッフ全員がバイリンガルで、日本人スタッフや日本語対応可能なスタッフも6人在籍しているという。自身も大手日系金融会社での勤務経験があるという代表のブライアン・ウエルシュ氏と事業開発マネージャーのデイビッド・貴春・ウエルシュ氏に、サービス内容や強み、今後のビジョンなどについて話を伺った。

  • ハイ・レベルのサービスをスピーディーかつリーズナブルな価格で提供
  • スタッフ全員がバイリンガル(対応言語:英語、スペイン語、中国語、日本語)
  • 30年以上にわたり築き上げられた豪州国内外の専門家との幅広いネットワーク

――貴社の主な事業内容と強みを教えて頂けますか。

弊社の主な事業内容は、監査、税コンプライアンス、タックス・プランニング、会社設立時における会計ソフトウェアの選択や毎月の会計業務、一般目的財務諸表(GPFS)の準備・作成、M&Aデューデリジェンス業務、豪州におけるM&A支援(不動産買収を含む)、研究開発費に関する税優遇措置の申請、ビザ申請代行(全種のビザに対応)など多岐にわたります。

また強みとしては、30年にわたって築いた国内外の豊富なネットワークを駆使し、弊社内でサービスを完結できる「ワン・ストップ・ソリューション」を、大手会計事務所と比べてもリーズナブルな価格で提供できることです。

――顧客の中心はどのような人たちで、どういった相談をよく受けますか。

主なお客様は、準大手の日系企業で、豪州子会社の設立についてよく業務の依頼を受けます。また、豪州の事業を買収する際に、その事業について本社様向けに日本語による税務・会計サポートを行わせて頂くことが多いです。

豪州の事業買収に当たり多くのお客様が気にされるのは、会社設立時の必要要件、現地子会社にお薦めの会計ソフトウェア、駐在員のビザ申請などになります。また、財務報告書の監査や、財務報告書がオーストラリアの会計基準や会社法に準じて作成されているかといったチェック、移転価格税制やそれに関連する国別報告書、ローカル・ファイルの準備・作成などです。研究開発費の税優遇措置を受けるための申請資格があるかどうかのアドバイスも積極的に行わせて頂いております。というのは、オーストラリアの研究開発に関する税優遇措置は、大変手厚くなっており、研究開発をしている多くの企業が、税優遇措置の対象となっているにもかかわらず、そのことを知らないために、せっかくの税優遇措置を利用されていないからです。上記に加えて、フリンジ・ベネフィット税(FBT)は日本にない税制のため、FBT税コンプライアンスに関しても、多くのご質問を頂きます。

――税務・会計アドバイスをする上で心掛けていることはありますか。

頂いたご質問には、24時間以内にご返信することを心掛けおります。また、回答に時間を頂く場合は、その旨を先にお伝えすることを心掛けております。こういった細やかな日本的なサービスを通し、長年に渡ってクライアント様との強い信頼関係を築いております。

また、税務・会計のアドバイスの際には、「聞きたいアドバイス」以上に「知っておくべき」ことをお伝えするようにしております。なぜなら、自身の会社の利益以上に、責任感を持ってクライアント様にアドバイスさせて頂くことを大切にしているからです。

――貴社の今後のビジョンをお教えください。

今後、ビジネスのグローバル化は更に進んでいくと考えております。国境を越えた取引も加速度的に増えていき、国際税務に精通していることが大変重要であると考えております。国境を越えたM&Aも増えていきますので、時代のニーズに合わせ、これまで以上に総合的なサービスを提供していきたいと思っております。

グローバル・ビジネスのサポートを通して、日本を始めとしたさまざまな国々とオーストラリアとの架け橋となれればと思っております。今後も「クライアント様の母国語でのサービス」をモットーに、グローバルに活躍する日系企業様のご要望に応じ、更なるサービス内容の充実と多角化を目指します。

BDWelsh & Co
■住所:Suite701, Level 7, 815 Pacific Highway Chatswood NSW
■Tel: (02)9413 -3860
■Web: jp.bdwelsh.com
■Email: info@bdwelsh.com


松本会計事務所
MATS & Co Accounta

代表・松本紀裕氏
代表・松本紀裕氏

ビジネス・コンサルティングを始めとした経営者のサポートを中心に、個人タックス・リターンなどの会計・税務サービスを2011年からシドニーを拠点に展開している「松本会計事務所」。同社代表の松本紀裕氏にサービス提供の際のサポート・スタイル、豊富な経験、同社ならではの強みなど広く話を伺った。

  • コミュニケーション重視の「話しやすい、相談しやすい」事務所
  • パートナーとして築き上げるお客様との信頼関係が一番の強み
  • 初めての方にも分かりやすい丁寧なサポート

――貴社の、他社と比べての強みを具体的に教えて頂けますか。

お客様との信頼関係が弊社の一番の強みだと思います。「話しやすい、相談しやすい」事務所であることを念頭に、弊社はビジネス・コンサルティングや独立・開業アドバイスに力を入れています。起業アドバイスの際には、丁寧なコンサルティングを通し、むやみに起業を勧めるのではなく、難しそうだと感じた場合にはその点を率直にお伝えし、より良い道をご提案することもあります。また、ビジネスが始まってからの事業に集中できる環境づくりのお手伝いもし、お客様と一緒にビジネスの成長を考えます。

他には、モーゲージ・コンサルタント、弁護士事務所、監査法人、ビザ・エージェントのネットワークを通して多方面でお客様をサポートしています。

――若手経営者やスポーツ選手、エンターテインメント関係者など多方面の方にサービスを提供されているそうですが、具体的にどのようなサービスを提供していますか。

経営者の方々は、ビジネスを始めると、良い意味でも悪い意味でもそれまでとは生活が一変します。初めて起業する方の中には、最初その変化に戸惑う方もいます。ですので、会計・税務面でのサポートだけでなく、コミュニケーションを重視したサポートの提供を心掛けています。

また、中小ビジネスの経営者の方々は時に孤独な状況に置かれます。従業員には話せない事や、ご家族や友人にも相談できない悩みもあると思います。そんな時でも、会計や税務を処理する時だけの会計事務所ではなく、経営とは関係のないことも何でも相談できるパートナーでありたいと願っています。

スポーツ選手やエンターテイメント関係者に関しては、税務申告や国際税務の関係する対応やアドバイスが必要とされる案件が多くなります。

――ローカルの会計事務所での勤務経験もあるとお伺いしておりますが、その経験に基づいたサポートなどはございますか。

まず、ローカルの会計事務所では、オーストラリア人会計士と日本人のお客様との間で、言葉や習慣の違いにより意思疎通がうまくいかず、希望されているサービスとのミス・マッチが起きていることがありました。また、ビザの種類による税務処理の取り扱いの違いを考える必要があまりない上に、商習慣やビジネス用語にもなじみのあるオーストラリア人顧客と同様の対応を日本人のお客様にもついしてしまうこともあるかも知れません。

弊社では、依頼者のニーズをしっかり把握するよう心掛けています。日本人のお客様に対しては、滞在状況の違いによる税務の取り扱いや、日本との税務が関係するなど日本人特有の案件の取り扱いも意識して業務を行っています。特に、専門用語などは、初めての方でも分かるようできる限り分かりやすく説明するようにしています。

また、以前オーストラリア企業や日系上場企業のオーストラリア法人の監査にも携わっていたことがあるので、その経験は今行っている会計業務やコンサルティング業務で、お客様のビジネスや業務フローを理解する際の強みとなっています。

――貴社の今後の展望についてお教えください。

会社として、次のステップへ進むために、一緒に苦楽を共にできる仲間を増やしていきたいです。また、オーストラリアで生まれた日系の会計事務所として、他地域の方々への認知度を更に高め、独立したネットワークを築いていけたらと考えています。

MATS & Co Accountants
■住所:Level 8, 66 Goulburn Street, Sydney NSW
■Tel: (02)8005 -4239
■Fax: (02)9475-1340
■Web: www.cnmpartners.com.au


【特集】会計事務所案内 2019②

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会計事務所案内 2019

個人・法人を問わず、タックス・リターンやビジネス決算、起業支援・相談などをサポートしてくれる会計事務所。特にオーストラリアの会計年度が変わる7月は、頼れる会計士を身近な存在にしておきたい。年々変わる税制や法令は、その都度対応していくことが難しく、知らなかったでは済まされない問題が起こる恐れもあるため、専門家への相談が必要だ。本特集では、オーストラリアを拠点とし日本人会計士が在籍する6つの会計事務所をご紹介。それぞれの会計事務所について、そして専門家として心掛けていることなどをインタビューで聞いた。

アーンスト・アンド・ヤング
Ernst & Young (EY)

EY パートナー/ジャパン・ビジネス・サービス・グローバルJBSリーダー菊井隆正氏
EY パートナー/ジャパン・ビジネス・サービス・グローバルJBSリーダー菊井隆正氏

世界各国でアシュアランス(監査・保証業務)、税務、アドバイザリーなどのサービス事業を展開する世界4大会計事務所の1つ「アーンスト・アンド・ヤング」。同事務所のジャパン・ビジネス・サービス部門のグローバル・リーダー・菊井隆正氏に、他社と比べての強みや業務で心掛けていること、今後のビジョンなどについて話を伺った。

  • アシュアランス・税務・アドバイザリー・トランザクションの4つの主要部門から構成
  • 世界約150カ国に所在する28万人を超える構成員が高品質かつ専門的な幅広いサービスを提供

――貴事務所は、具体的にどのようなサービスを提供されていますか。

EYは、アシュアランス(監査・保証)、税務、アドバイザリー及びトランザクションの4つの主要部門から構成されています。

アシュアランス部門では会計監査業務が主で、オーストラリアでは上場企業トップ200の約30%を監査しています。監査以外ではあまり知られてないところで気候変動とサステナビリティーに関する保証や不正調査サービスがあります。

税務部門では会社や個人の各種税務申告に関することはもちろん、国外取引の移転価格問題、また関税、GSTといった間接税や税務訴訟のサポートも行っています。また主に駐在員の就労ビザに関するサービスや富裕層向け事業継承に関するサービスも提供しています。

アドバイザリー部門は業務改革アドバイザリーとリスク・アドバイザリーから構成されています。業務改革アドバイザリーでは企業成長戦略、業務効率化、マーケット動向や規制へのオペレーション対応支援サービスに特化しています。後者では、サイバー・セキュリティーなど多様に変化するビジネス環境から生じるリスクへの包括的な危機管理戦略立案を行うだけでなく、対応状況評価及び改善提案の専門家としてクライアントを支援しています。

トランザクション部門では、企業買収・合併(M&A)及び売却など企業取引に関わる全てのサービスをワンストップで提供しており、M&Aにおける戦略立案から、買収後の企業統合プロセスに関する業務までサービスは多岐にわたります。更に、株式譲渡契約の作成・交渉や法務デューディリジェンスなど税務・会計の専門家と密接に協働しながら弁護士チームによる法務サービスも提供しております。

――貴事務所ならではの、他社と比べての強みはどのようなものでしょうか。

EYはグローバル化が特に進んでいるファームであると言えます。世界約150の国に所在する28万人を超える構成員が、地域を選ばない一貫した、高品質かつ専門的な幅広いサービスを提供しています。また、EYにはジャパン・ビジネス・サービス(JBS)という日本企業の海外事業展開をサポートするEYグローバルネットワークが存在します。そのネットワークを統括するための本部機能はEYジャパン内に設けられていますが、世界の70を超える主要都市に約500人(うち駐在員約100人)の日本語対応可能なプロフェッショナルを配置することによって、クライアントの皆様が急激に変化する世界において更なる挑戦と飛躍をするためのお手伝いを国境を越えてさせて頂いています。JBSオセアニアに関しては、日本のプロトコールを熟知したバイリンガルスタッフ約25人が在籍し、ただの通訳としてではなく、監査や税務、アドバイザリーなど実際の現場に入りクライアントの皆様にきめ細やかなサービスを提供しています。また、7月1日からEYジャパンとEYオーストラリア・ニュージーランドを含むアジア・パシフィック・エリアが統合し、人材リソースや専門能力の活用など、国・地域を越えたシームレスで、これまで以上に充実したサービスをグローバルでビジネスを展開している日本企業を支援して参ります。

――監査・会計アドバイスはもちろん、ビザ、M&A、企業の成長戦略支援など多岐にわたる分野でアドバイスを行っていますが、日系企業から多く寄せられる案件はどのようなものですか。

例えば、私たちが特に力を入れているトランザクション部門に関してですが、インフラ関連では、シドニー第2空港に代表される政府主導の大型インフラ・プロジェクトが計画されており、大手商社のみならず建設関連の企業が関心を示しており、多くの問い合わせを頂いています。また、金融業界では既進出の生保及びアセット・ウエルス・マネジメントの更なる事業拡大、また、新規参画を画策する日系金融機関からの案件もありました。資源・エネルギー関連では、一般炭の権益売却による豪州アセットの入れ替え、環境に配慮した再生可能エネルギ―への参入に関する問い合わせも多数あります。その他、住宅・商業施設・不動産においては、現地進出済の企業からは周辺関連ビジネスへの拡大可能性の問い合わせ、また、中堅日系企業の新規参入を狙った問い合わせも多数あります。

――会計監査や税務のみならず、コンサルティング・サービスなど幅広い分野の中で、得意とされているもの、これから延ばしていきたいものは何でしょうか。

引き続き今後も増えると予想される日系企業によるオーストラリアへ進出時に必要なM&Aを包括的にサポートするサービスを伸ばしていきたいと考えています。また、買収を通して既に大規模な現地企業を保有されている会社も数多くありますので、そういうところにはカスタマー、収益管理、事業戦略の見直し、オペレーションの再構築、ERPを中心にIoTやAI活用といった、最先端技術の導入支援などのコンサルティング・サービスを伸ばしていきたいと思います。また、最終的に成功するかどうかは人と組織の変革が要となりますので、人事組織設計や構造改革、人事評価・報酬制度の再設計など人事に関係する業務もサポートしていきたいと思っています。

更に、EYウェーブ・スペースと呼ばれるイノベーション施設がシドニー事務所にも昨年開設されました。ここは、クライアントを招いて日頃の業務から離れAI、ロボットやブロック・チェーンなどのツールを利用しながら、クライアントが抱えるさまざまな課題や業界を取り巻くディスラプションに対応するための手法を専門家と一緒に考える特別なエリアとなっています。

――税制の変化がめまぐるしいオーストラリアにおいて、業務で心掛けていることは何ですか。

改正の意図をきちんと理解するためにも、過去の大きな流れから税制の変化をきちんと把握するように心掛けています。EY内部には、「Tax Policy Centre」という税制の専門家で構成されている部門があり、彼らは常にアンテナを張りめぐらして税制の動向を注視し、税制改正の影響などを分析の上、社内で情報を共有しています。クライアントの置かれている背景はそれぞれ違うので、税務に限らずクライアントのビジネスや取引、業界における動向についても理解を深め、税制の変化の影響を事前に探知できるように努めています。

税務の情報提供に関してJBSでは、Tax Policy Centreから受け取った大量の情報をチームで協議し、日系企業に影響があるものを厳選してメルマガやセミナーなどで最新情報としてお伝えすることを常に心掛けています。

――今後のビジョンや展望について伺えますか。

EYオーストラリアには8,000を超える専門家がさまざまなアドバイスを多くのクライアントに提供しています。その情報や経験の蓄積は膨大な量になるかと思います。業界の性質上、守秘義務の問題などもあるかもしれませんが、これら情報の管理は、ボタンを押して簡単に出てくるものでなく、人的なネットワークに依存しているところがあります。社内でのネットワークを強化することで、蓄積された情報・経験を理解し活用し、クライアントにさまざまなソリューションの提供ができるようにしていきたいです。また、そのようなチーム作りをしていきたいと考えています。

Ernst & Young (EY)
■Web: www.ey.com/au/en/home


【特集】会計事務所案内 2019③

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会計事務所案内 2019

個人・法人を問わず、タックス・リターンやビジネス決算、起業支援・相談などをサポートしてくれる会計事務所。特にオーストラリアの会計年度が変わる7月は、頼れる会計士を身近な存在にしておきたい。年々変わる税制や法令は、その都度対応していくことが難しく、知らなかったでは済まされない問題が起こる恐れもあるため、専門家への相談が必要だ。本特集では、オーストラリアを拠点とし日本人会計士が在籍する6つの会計事務所をご紹介。それぞれの会計事務所について、そして専門家として心掛けていることなどをインタビューで聞いた。

イージー・タックス・ソリューションズ
Ezy Tax Solutions

代表・賀谷祥平氏
代表・賀谷祥平氏

QLD州ケアンズに拠点を置き、豪州国内外に税務・会計サービスを提供する会計事務所「イージー・タックス・ソリューションズ」。同国の税務会計士業界を変えるという強い使命感と共に2013年から業務を開始した同社は、起業家、ビジネスを始め、永住者から学生、ワーホリ・メーカーまでさまざまな利用者から高い評価を受けている。代表・賀谷祥平氏が語るイージー・タックス・ソリューションズの強みとは。

  • オーストラリアの税務に特化した高い専門性による事業展開
  • ビジネス税務、分かりやすいコンサルティングが強み
  • ITシステムも活用した迅速・丁寧・安いサービス

――貴社設立の経緯と経営理念についてお教えください。

元々は2003年にオーストラリアで騎手デビューを果たし、騎手としてレースに出る傍ら趣味のような形で公認会計士の勉強を始めました。その中で会計事務所で働かせて頂く機会があり、多くの会計事務所が会計士の無知の代償としてお客様に時間課金で必要以上に料金を請求しており、更に日本人でなかなか良い公認会計士がいないという現実に直面しました。もっとしっかりした会計士がオーストラリアには必要、何とかしなくてはいけないと思ったことが弊社設立のきっかけです。弊社は、在豪日本人にとってそうした税務・会計上のマイナスな状況を打破することを使命に掲げ、13年に始まりました。

公認会計士として活動を始めた当初は、日本語での情報だけでなく、お客様目線での情報を発信している会計事務所自体が少ない状況でした。気軽に利用できる会計事務所として、もっと多くの人に一見難しそうなオーストラリアの税務やビジネスの情報に身近に触れられる機会を設けたいと考えたことが、弊社の理念となりました。

加えて、弊社はオーストラリアの税務に特化することで高い専門性を維持しながら事業を展開しております。他の専門分野には不必要に手を出しません。これは、オーストラリアの税務会計士業界を変えたいという使命感から来る事業スタイルであって、その使命感に基づいた経営こそ弊社の強みではないかと考えています。

――貴社の組織体制とそれによる利用者側のメリットはどのようになっていますか。

弊社の組織は、2000年にフランスで開催されたフリーダイビング・ワールド・カップで日本代表だった小口彰と競馬騎手である賀谷祥平の2人の正会計士を始めとした、生粋の日本人チームです。弊社では、ダブル・アカウンタント・レビュー・システム(Double Accountant’s Review System)で2人の正会計士が相互チェック、BAS(事業活動報告)エージェントがデータ・チェックなどをバックアップしています。このように個々による担当制を設けず、複数で業務に取り掛かる体制は、業務上のミスを排するだけでなく、作業分担による効率化とサービスの低価格化につながります。

オーストラリアの会計事務所には、1人で経営している所や、有資格者が1人しかおらずジュニア・スタッフなど誰かが行った業務を軽くチェックするだけといった所が多いです。どんなに仕事ができる人であってもヒューマン・エラー、ケアレス・ミスを防ぐことはできません。また、オーストラリアで税理士になることは特に難しいわけではないため、知識量の隔たりが人によって大きいという問題もあります。結果的に、間違った知識のまま業務を行っても修正する人がおらず、何年やっても業務を正しく理解していないという状況が起こりかねませんし、実際にそういう会計事務所もあります。

また、弊社ではクラウドITシステムを採用することで、スタッフがいつ、どこにいてもインターネット環境さえあれば働ける体制を整えており、迅速な対応を可能にしています。真夜中にタックス・リターンを申請して、夜のうちに返信をくれる会計事務所は他にはないでしょう。このクラウドITシステムは事務所でデータを管理するのと違い、弊社のセキュリティー強化にも一役買っています。

――事業に関しては、個人税務並びにビジネス税務、会計業務、起業相談・支援と広くカバーされていると伺っていますが、中でも強みとしている事業分野は何ですか。また取り扱い頻度の高いサービスには何がありますか。

起業家、永住者、学生、駐在員、ワーキング・ホリデー・メーカー、投資家、日本在住の方などから幅広くお問い合わせを頂いております。

税務の全てを専門としていますが、特にビジネス税務を専門にしております。これは、正会計士2人とも会計士、税理士資格だけでなくMBA(Master of Business Administration/経営学修士)保持者ということもあり、ビジネスに関する知識、洞察を使いながら税金だけでなく、俯瞰的な視点を持ってビジネス全体を見ることができるためです。また、顧客の多くがローカルのため、日本人のお客様だけだと出合わない複雑な案件にも対応できます。

ただ、それ以上に弊社の一番の強みは「コンサルティング力」です。会計・税務だけを行える会計士は多いのですが、AIが台頭する時代が訪れると税務・会計業務自体に会計士が必要なくなっていくでしょう。そうした状況になったとしても、人の情熱や分かりやすさの関わってくるコンサルティング力や創造性は、これからの会計士にも必須であるという認識の下、それも強みとしながらサービスを行っております。

――貴社が取得している世界基準の品質管理システム「ISO9001 Quality Management System」(以下、ISO9001)は、提供するサービスにどのような良い効果をもたらしているのでしょうか。

ISO9001については、1年に1回、内部監査(Internal Audit)を行い、毎年同品質管理システムの監査にパスする必要があります。そのため、内部監査やISO9001の監査で指摘される箇所、対策する箇所などが業務改善を助け、内部統制(Internal Control)やお客様に提供するサービスなど、いろいろな面で生かされていきます。

――貴社のサービスに対して、利用者からはどのような評価を受けていますか。

利用者の皆様の声を客観的にお聞ききするべく、弊社のサービスに対する評価に関しては第三者機関にお客様のフィードバック依頼をしており、現在のところ10段階中9.2という高い評価を頂いています。ただ、弊社の方針は「お客様は神様です」ではなく、情報が商品である士業へのリスペクトがない失礼なお客様には業務をお断りさせて頂くこともあり、評価数値が1ということも多くあります。よく頂く評価の言葉としては、「迅速」「分かりやすい」「前の会計士は教えてくれなかった」「丁寧」「安い」などが挙げられます。

――今後利用者のために強化していきたい分野、サービスにおける展望などをお教えください。

今も行っているお客様と我々の双方にとって楽な業務方法を、今後更に強化していくつもりです。

それは、弊社の仕事が減ることでサービス料金も下がる、お客様とのWin-Winの関係を重要視しているからです。何も知らずに自分で間違った方法でタックス・リターン申請などを行い、会計士の作業量が増え、お客様も高い料金を取られるといった悪循環がはびこっているのが、残念ながらオーストラリアにおける税務・会計の実情です。そのため、弊社ではお客様にアドバイスし、先回りして間違いを防ぐ対策を取ることでお互いの手間を減らすことを目指しております。

また、日本人会計事務所様など協力して頂ける方がいましたら待望論の多い他都市での支店開設、シドニーやメルボルンなど他都市への訪問、セミナーの機会を増やすことが今後の展望でしょうか。そうして、オーストラリア各地の日系社会に住む皆様の力になれたらと思っています。

Ezy Tax Solutions Pty. Ltd.
■Web: www.ezytaxonline.com.auwww.ezytaxsolutions.com.au


【特集】会計事務所案内 2019④

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会計事務所案内 2019

個人・法人を問わず、タックス・リターンやビジネス決算、起業支援・相談などをサポートしてくれる会計事務所。特にオーストラリアの会計年度が変わる7月は、頼れる会計士を身近な存在にしておきたい。年々変わる税制や法令は、その都度対応していくことが難しく、知らなかったでは済まされない問題が起こる恐れもあるため、専門家への相談が必要だ。本特集では、オーストラリアを拠点とし日本人会計士が在籍する6つの会計事務所をご紹介。それぞれの会計事務所について、そして専門家として心掛けていることなどをインタビューで聞いた。

ブリース洋子公認会計士事務所
Yoko Briese Accounting & Business Services

ブリース洋子氏
ブリース洋子氏

オーストラリアCPA協会の公認会計士として15年の経験を持ち、2010年にゴールドコーストに「ブリース洋子公認会計士事務所」を開業したブリース洋子氏。メルボルンにもオフィスを構える同所は、税務・会計を始め、ビジネス・コンサルティングを含む起業サポートなどを手掛けている。詳しい事業内容はもちろん同所のサービスや強み、今後の展望などについて話を伺った。

  • 事業拡大や起業相談などビジネス・コンサルティングが強み
  • 必要に応じてあらゆる分野の専門家も紹介してくれる
  • 迅速に分かりやすく対応し、クライアントの身になってサービスを提供

――貴事務所は事業拡大や起業相談を主な強みとしていますが、具体的にどのようなサービスを提供されていますか。

まず事業計画書を作成する仮定の基、クライアントがご提案される事業内容に沿って話を伺います。その事業の強み、弱点、チャンスやリスクなど、それらを踏まえた上で、的確な事業形態をご提案するようにします。それらは資産保護や、将来の事業継承または売却の際のキャピタル・ゲイン税節税につながることになると思います。日々の節税も確かに大切ですが、そこにばかり焦点を合わせてしまうと、大きなチャンス(例えば金融機関から融資を受けられるなど)を逃してしまうこともありますので、その辺りの話もさせて頂くよう心掛けています。

また、ケース・バイ・ケースであらゆる分野の専門家からのアドバイスが必要になるかと思いますので、最も適した専門家をご紹介致します。

クライアントの状況やゴールを考え、ベストな事業形態という「モノづくり」をお手伝いします。

――在豪の日本人から多く寄せられる案件はどのようなものですか。また、普段の業務の中でどのようなことを心掛けているか教えてください。

「従業員の賃金が高すぎるが、どうしたらキャッシュ・フローの中からやりくりができるか」「起業したい」「事業を購入、売却したい」「最小限の税金で、資産を子どもに継承したい」などキャピタル・ゲイン、税についての案件が多いです。

業務においては、分かりやすく説明することはもちろん、口頭で説明するだけでは誤解が生じるので、必ず文書で再度説明するように心掛けています。

――貴事務所ならではの、他社と比べての強みはどのようなものでしょうか。

ひと言で表すとすれば、「クライアントの身になって」サービスをご提供できる点です。

お気軽にご相談頂けることに加え、きちんとご理解頂けるまでじっくりと説明します。常に迅速に分かりやすくご対応することをスタッフ一同心掛けています。たとえすぐに答えることができなくても、後々クライアントに不快な思いをさせないよう作業量や掛かる時間などをお伝えし、費用がどのくらい掛かるのかもご提示しています。

そして月に一度発行しているメルマガには、旬な情報を掲載しており、そこでも読者目線で分かりやすく記事を書くようにしています。

――貴事務所またはご自身の今後の展望について教えてください。

会計ソフトの完全クラウド化や、基本的な税金に関する知識の普及により、これまでの財務諸表作成や確定申告などの会計士によるコンプライアンス業務は、将来的に作業要素が業界全体で簡略化されていくものと思われます。これからの会計事務所としては、クラウド化やコンピュータ化ではできない仕事をしていく必要があり、クライアントが必要とすることに細かく対応し、解決策などをご提案していくことが重要になると考えています。そのため、ますます、クライアント第一の会計事務所を目指していきたいと思っています。

税務・会計について分からないことや不安に思うことがあれば、そのままにしないでいつでもご相談ください。

Yoko Briese Accounting & Business Services
■住所:Suite 2204, Southport Central Tower 2, 5 Lawson St., Southport QLD(ゴールドコースト・オフィス)、454 Collins St., Melbourne VIC(メルボルン・オフィス)
■Tel: (07) 5667-9245
■Fax: (07) 5667-9254
■Web: www.ybabs.com.au
■Email: info@ybabs.com.au


SCSグローバル・コンサルティング・オーストラリア
SCS GLOBAL CONSULTING AUSTRALIA

中里真也氏(左)と竹井丈了氏(右)
中里真也氏(左)と竹井丈了氏(右)

世界17カ国に30以上の事務所を有する国際会計事務所「SCS-Invictus Holdings」の中の、シドニーとメルボルンに事務所を構えるオーストラリア拠点として全豪各地にサービスを展開する「SCSグローバル・コンサルティング・オーストラリア」。シドニー・オフィス代表の中里真也氏に、豊富な業務実績や多種多様な専門家とのネットワークを誇るという同社の強みとするサービス分野、組織の特徴などを聞いた。

  • きめ細やかで精度の高い経理・会計アウトソーシング、税務コンサルティングが強み
  • 日豪の商習慣に通じた日本人スタッフ・公認会計士による質の高いサービス
  • 国際会計事務所として蓄積されたノウハウや専門家などの人的資源

――貴社の強みとする業務分野にはどのようなものがありますか。

弊社は2016年7月より本格稼働しており、1,000件を超える業務実績を誇ります。その豊富な実績に基づいた、きめ細やかで精度の高い記帳代行や月次決算などの経理・会計アウトソーシング、税務コンサルティングが強みです。クライアントは、個人から一部上場企業の子会社までさまざまで、それぞれ違う悩みを持たれています。弊社は個々のクライアントのニーズを細かく把握した上で、価格を抑えた最低限のサービスからコンサルティングを含めた包括的なサービスまで、ベストな解決策を提供できることから高く評価されています。

――その強みを可能にする組織の特徴についてお教えください。

弊社の従業員は全て日本人で、日本の大手企業・会計事務所での実務経験のある者も在籍しています。加えて全員が在豪歴10年以上と、この国の商慣習にも精通しており、それを強みとしたサービスを提供しています。日本人のオーストラリア公認会計士も4人在籍し、彼らが会計・税務全般について確認を行うので、サービスの質の維持につながっています。

また、弊社はアジア、北米、欧州など17カ国に30以上の拠点を持つ国際会計事務所です。「One Team, No Border」というグループ・ビジョンを掲げ、国の枠を超え各拠点を1つの会計事務所として考え、情報・知識などの共有を可能にしています。

オーストラリア国内外にいる400人を超える多種多様な専門家とも密に連絡を取れるため、さまざまな状況に応じた最善のサポートが可能です。クライアントが国際企業かどうかにかかわらず、このようなノウハウや人的資源の蓄積が弊社のサービスのさまざまなところに生かされています。

――対応案件には何が多く、どのようなサービスを提供されていますか。

現在最も多い提供サービスは記帳代行や会計報告書の作成などの会計業務のアウトソーシング、法人税申告及び個人のタックス・リターンなど各種税務関係の申告のコンプライアンス業務です。どのようなサービスでも、まずはヒアリングをしてニーズを把握します。と言うのも、クライアントの想定よりも良い解決策を考えられる場合もあるからです。例えば、個人事業主の方で自宅を業務で使っている場合、経費として扱った方が良いように思えますが、状況により税務上それが好ましくない場合もあります。また、記帳を行う上で安易にシステム導入にこだわらずに、広い視野から効率アップの方法をご提案することもあります。

ヒアリングを実施しサービス内容に合意頂いた後は、それに沿って公認会計士を含めた経験豊富なスタッフによって業務が進められ、最終的な確認は必ず違う公認会計士が行うようにし、サービスの質を維持しています。

――貴社の今後の展望をお教えください。

クライアントにとっての「Trusted Advisor」として、どのような状況でも的確なアドバイスがきる専門家集団となるべく、常に業界の最先端にいる努力をしています。今回は詳しく触れていませんが、移転価格などの複雑な国際税務や不正防止に関するアドバイザリーについても多くの経験を有しています。このように、サービス範囲は多岐にわたるため、どんな悩みも「とりあえずSCSに聞けば何とかなる」という状態を目指しております。専門家の協力体制はできているため、どのようなことでもぜひ一度お問い合わせください。

SCS Global Consulting Australia Pty. Ltd.
■住所:Leve l 9, 122 Arthur St., North Sydney NSW
■Tel: (02)9954-9200(担当:中里真也)
■Fax:(02)9954-3200
■Web: www.scsglobal.co.jp
■Email: nakazato@scsglobal.co.jp(シドニー・オフィス代表:中里真也)、takei@scsglobal.co.jp(メルボルン・オフィス代表:竹井丈了)


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