会計士インタビュー2018
PR Yoko Briese Accounting & Business Services
ブリース洋子公認会計士事務所
ブリース洋子氏
クイーンズランド州ゴールドコーストを拠点に、ブリスベンにも支店を構える会計事務所「ブリース洋子公認会計士事務所」の代表・ブリース洋子氏。日本の企業を退職後、オーストラリアの大学のビジネス学部と商学部の卒業を経て、同国の会計事務所に勤めた。その後、公認会計士を志したきっかけや独立し開業するまでの経緯、同氏及び事務所ならではの強み、そして将来について話を伺った。

――日本で就職した後にクイーンズランド州のグリフィス大学へ入学され、その後会計士業へ就かれました。その転機は何だったのでしょうか?
グリフィス大学の国際ビジネス学部では、ビジネスに関することを多岐にわたって学びました。経済、経営、統計学、マーケティング、政治などです。全てとても興味深い分野だったのですが、幅が広すぎて「一体自分は卒業後、どこに就職して何をしたいのだろうか」と思っていた時に出合ったのが会計でした。
元々、数学が得意だったので楽勝だと思い、始めてみると自分の愚かさに驚きました。会計・税法には答えが複数あり、アドバイザーの知識や導き方次第で、アドバイスを受ける側の得にも損にもなると気付き、それを仕事にできたら楽しいだろうと思いました。そこで、国際ビジネス学部をもうすぐ卒業という時点で、商学部に転部し、会計士を目指すことにしました。
――オーストラリアで会計士として開業した経緯についてお聞かせください。
グリフィス大学卒業後に、オーストラリア人経営の会計事務所に10年間勤務しました。同事務所では一般の会計・税理業務の他、上司と顧客の間で通訳・翻訳もしました。オーストラリアでは会計士や弁護士が時間単位で費用請求することから、第三者が間に入ることで顧客に余分な時間や金銭的な負担を掛けることに煩わしさを感じていました。余計な時間が掛かるために迅速で細かいサービスを提供することが困難な環境に疲れてしまいました。
また、顧客との信頼関係を築くために仕事以外のことを話したりするなど、お互いをより良く知ることも大切なのですが、時間的な制約の中で上司に代わって話を伺うとなると、ここでもブレーキが掛かってしまいます。
これらのことから、顧客に直接サービスを提供したいと思うようになりました。私の両親も酒屋を営んでいたこともあり、事業を始めることに対して「私にもできる」という根拠のない自信があったのかもしれません。そして直に顧客と向き合い、声を聞くことができる会計事務所を目指して、独立開業しました。
――貴事務所では個人から法人まで取引顧客の幅が多岐にわたりますが、個人・法人それぞれの相談内容としてどのようなことが多いですか?
個人としては、税申告、節税そして資産保護に関するものが多いです。例えば、「オーストラリアにある資産を子どもに多額の税金を支払うことなく譲渡したい」というような内容です。また、「資産保護のためトラストを設立したい」「起業したいが、どうするべきか」「不動産投資をしたいが、どうしたら節税できるのか」「キャピタル・ゲイン税を減らすにはどのようなことに気を付けたら良いか」など起業や投資に関する問い合わせも多く頂きます。
法人としては、会社設立の依頼から記帳代行・トレーニングやクラウド会計の導入、財務諸表作成、税申告、消費税申告などの相談をお受けします。
――起業相談を主な業務の1つとして行われていますが、それを強みとしている理由と、オーストラリアで起業を考える方へ向けて、起業するメリットと気を付けるべきことを教えてください。
弊所は、経験、実績、そして長年培ってきた信頼が強みとなっています。大学卒業後に勤めた会計事務所では、日本人がオーストラリアに移住することを目的とした起業の相談を多く受けていました。その際、事業目的・内容や予算、顧客の過去の経験などを分析した事業計画書作成、キャッシュ・フローを分析し、最適な事業形態をアドバイスしてきました。加えて、これまで培ってきた地元の専門家(弁護士、銀行、保険会社、ビザ・コンサルタント、不動産会社)や、オーストラリア国税局(ATO)、法務局(ASIC)、労務局(Fair Work Commission)などの政府官公庁との信頼関係を基に、起業したい方々のお役に立てると思います。
起業のメリットは、何と言っても自分がやりたいことを実現できることでしょう。しかし、明確な目的や事業計画を持たずに起業すると失敗したり、その責任を100%自ら被らなければなりません。家族にまで負債が及ぶ場合もあります。また、これまで会社勤めだった人が比較的容易に組むことができた融資を受けづらくなったり、クレジット・カードを持つことも難しくなるかもしれません。
そのため、起業前に詳細な事業計画を作ることをお勧めします。しっかりとした記帳も成功の秘訣です。節税のみを考えるあまり、実際の売上や経費を正確に報告しないと銀行から融資が受けにくくなったり、事業売却の際に思った金額で売ることができないといったデメリットが考えられます。
――税務・会計のアドバイスをする上で心掛けていること、大切にしていることはありますか?
顧客の目線に立ってアドバイスをすることです。多くの場合、自分がどうしたいのか、顧客はぼんやりとした形だけを持っています。上から押し付けるようなアドバイスはその場で理解できても、納得はして頂けません。「顧客はどうしたいのか、どうすればその答えや目的に到達できるのか」を一緒に考えながらアドバイスすることを心掛けています。
もちろん、顧客の希望や目的が達成できそうにない時には、はっきりとお伝えして、プランB(代替案)を提案することも大切です。後は、迅速で的確なレスポンスです。たとえすぐに答えることができなくても、返事の日時を示したり、後々顧客に不快な思いをさせないように、作業量や掛かる時間などを提示して費用がどのくらい掛かるのかをお伝えしています。
――貴事務所またはご自身の今後のビジョンや展望について教えてください。
会計業界はクラウド化、そして低賃金の国への業務外注により財務諸表作成や確定申告などのコンプライアンス作業だけを見てみると、将来的に作業要素が業界全体で減少していくのは必須だと思います。こうした技術が発達することで、会計士はどこにいようと問題ではなくなってくるので、ゴールドコーストからオーストラリア国内外、どこの顧客にも容易にサービスの提供が可能です。また、これらのシステムを駆使するスキルを磨き、機械にはできないコミュニケーションや専門知識を磨くことにより時間を掛けることができます。
「ゴールドコーストの一事務所」ではなく「オーストラリアの公認会計事務所」として顧客にサービスを提供できると思っています。
事業内容
個人:起業サポート、記帳サービス、会計業務トレーニング、節税効果、資産保護、キャピタル・ゲイン、適切な形態の事業設立の手伝いなど
法人:会社設立、記帳代行、記帳トレーニング、クラウド会計の導入、財務諸表作成、税申告、消費税申告など
ブリース洋子(ブリースようこ)◎青山学院女子短期大学卒業後、大手ビール会社に勤務。1989年に来豪し、グリフィス大学国際ビジネス学部及び商学部卒業後、ゴールドコーストの中堅公認会計士事務所で10年間勤務。この間、オーストラリアCPA協会で公認会計士免許を取得。2010年にブリース洋子公認会計士事務所をゴールドコーストに開業。ゴールドコースト日本商工会議所事務局も務める
